ワイルド・ホース

ワイルド・ホース：ローリング・ストーンズの不朽の名曲

ローリング・ストーンズの「ワイルド・ホース」(Wild Horses)は、1971年に発表されたアルバム『スティッキー・フィンガーズ』に収録されている楽曲です。この曲は、ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作詞・作曲されました。カントリーロック調のバラードとして知られ、ストーンズの音楽性における幅広さを示す一曲と言えるでしょう。

しかし、「ワイルド・ホース」の起源は意外なところにあります。実は、この曲はストーンズの作品として発表されるよりも前に、フライング・ブリトー・ブラザーズのアルバム『Burrito Deluxe』(1970年5月)で既に収録されていたのです。フライング・ブリトー・ブラザーズは、カントリーロックの先駆けとして知られるバンドで、当時リチャーズと親交の深かったグラム・パーソンズが主要メンバーでした。このバージョンでは、後に自身も「ワイルド・ホース」をカバーすることになるレオン・ラッセルがピアノ演奏を担当しています。

ストーンズによる「ワイルド・ホース」は、彼らが設立したレーベル「ローリング・ストーンズ・レコード」からリリースされた最初のアルバム『スティッキー・フィンガーズ』に収録されました。フライング・ブリトー・ブラザーズ版から約1年後の発表となります。その後、アメリカでは1971年6月21日にシングルカットされ（B面は「スウェイ」）、Billboard Hot 100で28位まで上昇するヒットを記録しました。

楽曲の制作過程について、リチャーズはメロディーとサビのフレーズを担当し、ジャガーが歌詞の残りを書いたとされています。リチャーズは、この共作方法が彼ら二人にとって典型的なものだと語っています。特徴的な12弦ギターとエレキギターのスライドプレイはリチャーズによるものですが、ミック・テイラーはアコースティックギターのみを担当しています。

興味深いことに、この曲の歌詞はマリアンヌ・フェイスフルの自殺未遂がインスピレーションになったという説があります。フェイスフルは1969年7月に睡眠薬の過剰摂取で昏睡状態に陥ったことがありましたが、ジャガー自身はこの説を否定しています。

「ワイルド・ホース」は1969年12月にレコーディングされました。当時、ストーンズはアブコ・レコードとの契約が残っていたため、ベストアルバムなどに収録される際には、アブコによる編集盤に収録される場合があります。「ブラウン・シュガー」なども同様です。

コンサートでも頻繁に演奏されており、1971年のリリースから2015年まで、長年に渡ってストーンズのライブレパートリーに含まれていました。ただし、1980年代にはレパートリーから外されていた時期もあります。また、多くのコンピレーションアルバムにも収録されています。『ローリング・ストーン』誌が選ぶ最も偉大な500曲においては、193位にランクインしています。

参加ミュージシャン:

ミック・ジャガー - リードボーカル
キース・リチャーズ - エレキギター、アコースティックギター、バッキングボーカル
ミック・テイラー - アコースティックギター
ビル・ワイマン - ベース
チャーリー・ワッツ - ドラムス
ジム・ディッキンソン - ピアノ

別バージョンとカバー:

1970年公開の映画『ギミー・シェルター』では、ストーンズが「ワイルド・ホース」をプレイバックするシーンがありますが、使用されている音源はオリジナルテイクとは異なる別バージョンです。2015年リリースの『スティッキー・フィンガーズ・デラックス・エディション』には、未発表バージョンが収録され、オリジナルとは異なるギターやコーラス、ボーカルなどが聴けます。

この曲は数多くのアーティストによってカバーされています。レオン・ラッセル、ザ・サンデイズ、オーティス・クレイ、スーザン・ボイルなど、様々なアーティストがそれぞれの解釈で「ワイルド・ホース」をカバーし、その魅力を再解釈しています。

「ワイルド・ホース」は、ストーンズの代表曲の一つとして、時代を超えて愛され続ける名曲と言えるでしょう。その美しいメロディーと切ない歌詞は、多くのリスナーの心を捉え続けています。

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