ワガドゥグ全アフリカ映画祭

ワガドゥグ全アフリカ映画祭（FESPACO）

ブルキナファソの首都ワガドゥグで2年ごとに開催される、アフリカ大陸最大規模の国際映画祭です。フランス語名称はFestival panafricain du cinéma et de la télévision de Ouagadougouといい、略称のFESPACO（フェスパコ）として広く知られています。1969年にその歴史が始まりました。

創設当初、この映画祭は「ワガドゥグ最優秀アフリカ映画祭」という名称でした。しばしば「アフリカ映画週間」と呼ばれることがありますが、創設に関わった人物の著書や当時の広報物によって、この通説は誤りであることが明らかになっています。第3回を迎えた1972年に現在の正式名称に変更され、1979年からは隔年での開催が定着しました。以降、奇数年にFESPACOが、偶数年にはブルキナファソ全国文化週間が交互に行われています。1983年には、映画祭と並行して開催されるアフリカ映画・テレビ番組の見本市であるMICA（Marché international du cinéma et de la télévision africains）が導入され、アフリカ映像産業の発展にも貢献しています。

この映画祭はブルキナファソ政府が主催し、オランダ、スウェーデン、中華人民共和国、デンマーク、ドイツ、フィンランド、フランスなど、多くの国々の協賛を得て運営されています。国際的な支援が、アフリカ映画の振興にとって重要な役割を果たしています。

FESPACOでは、アフリカ映画の多様な才能を顕彰するため、多岐にわたる賞が設けられています。主な賞だけでも30種類以上があり、グランプリのほか、最優秀短編賞、観客賞、最優秀俳優賞（女優・男優）、最優秀シナリオ賞、最優秀音楽賞、最優秀イメージ賞、審査員特別賞などがあります。特に、アフリカの新進監督を対象とするウマール・ガンダ賞や、アフリカ大陸外で活動するアフリカ系監督を対象とするポール・ロブスン賞といった特別賞も存在します。

最も権威ある最高賞は「ヨネンガの牡馬賞（Étalon de Yennenga）」と呼ばれています。この名称は、現在のブルキナファソの基盤を築いたとされるモシ族の伝説的な女王ヨネンガに由来しています。この賞は、アフリカの現実を最もよく反映したアフリカ大陸の作品に贈られ、アフリカ映画界における最高の栄誉とされています。

主なグランプリ受賞作品には以下のようなものがあります。

1972年（第3回）『Le Wawwou Poligamie』（ウマール・ガンダ / ニジェール）
1976年（第5回）『Muna Moto』（ディコンゲ・ピパ / カメルーン）
1979年（第6回）『Baara』（スレイマン・シセ / マリ）
1987年（第10回）『Sarraounia』（メド・オンド / モーリタニア）
1991年（第12回）『Tilaï』（イドリッサ・ウエドラオゴ / ブルキナファソ）
1997年（第15回）『Buud Yam』（ガストン・カボーレ / ブルキナファソ）
2003年（第18回）『Waiting for Happiness』（アブデラマン・シサコ / モーリタニア）
2009年（第21回）『Teza』（ハイレ・ゲリマ / エチオピア）
2017年（第25回）『Félicité』（アラン・ゴミ / セネガル）
2023年（第28回）『Ashkal』（ユセフ・シェビ / チュニジア）
* 2025年（第29回）『Katanga: The Dance of the Scorpions』（ダニ・クーヤテ / ブルキナファソ）

FESPACOは、単なる映画祭に留まらず、アフリカ各国の映画製作者、配給業者、批評家などが集まる重要なプラットフォームとなっています。アフリカ自身の視点から語られる物語を発信し、世界に紹介する場として、アフリカ映画の発展と国際的な認知向上に不可欠な役割を果たしています。

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