ワズワース・アテネウム美術館

ワズワース・アテネウム美術館：アメリカ最古の公立美術館の輝き

コネチカット州ハートフォードに位置するワズワース・アテネウム美術館は、1844年開館と、アメリカで最も歴史のある公立美術館です。7万5千平方フィート（約7000平方メートル）の広大な展示スペースには、5万点を超える美術品が収蔵されており、コネチカット州最大の美術館としてその名を知られています。

充実したコレクション：5000年以上の歴史を網羅

そのコレクションは驚くほど多様性に富み、時代や地域を広く網羅しています。ヨーロッパのバロック美術や古代エジプト、ギリシャの青銅器、フランスとアメリカの印象派絵画、そしてハドソン・リバー派の風景画といった名作の数々が、来館者の目を楽しませます。

さらに、モダニズムの傑作から現代美術まで、幅広い作品が展示され、初期アメリカの家具や装飾芸術のコレクションも充実しています。5000年以上の歴史を物語るコレクションは、まさに圧巻の一言です。

美術館の歴史：ワズワース家からの寄贈から始まる物語

1842年に建設が始まった美術館は、ハートフォードで最も由緒ある名家、ワズワース家の援助によって設立されました。ワズワース家は、美術館開館時に貴重な美術品を数多く寄贈し、その発展の礎を築きました。

その後も、サミュエル・コルトの未亡人エリザベスや、投資家のジョン・ピアポント・モルガンなど、多くの著名な人物から貴重なコレクションが寄贈されました。彼らの寄贈によって、ハドソン・リバー派の風景画やルネサンス期の装飾芸術、植民地時代のアメリカ家具など、コレクションはさらに充実していきました。

20世紀には、巨額の遺贈による美術品購入基金の設立や、先進的な館長たちの尽力により、カラヴァッジョやサルバドール・ダリ、ポール・ゴーギャンといった巨匠たちの作品が次々と収蔵されることになります。

戦後、現代美術の分野でも、トニー・スミスやスーザン・モース・ヒルズといった人物からの寄贈によって、ジャクソン・ポロックやマーク・ロスコといった重要な作品が加わり、コレクションは現代美術まで拡大されました。近年も、写真コレクションの充実など、コレクションの拡充は現在も続いています。

建築：時代を超えた建物の融合

美術館の建物は、初期の「城」のような建物から始まり、その後、チューダー様式やルネサンス様式、インターナショナル・スタイルなど、様々な建築様式が融合した独特の外観を特徴としています。これらの建物は、美術館の歴史そのものを物語るものです。

美術館の敷地内には、ネイサン・ヘイルの像が立っており、これもまた歴史を感じさせる要素の一つです。

また、著名な館長であったアーサー・エヴェレット・オースティン・ジュニアの邸宅も、美術館が所有しており、一般公開されています。

美術館が果たしてきた役割：芸術文化の拠点

ワズワース・アテネウム美術館は、単なる美術品の展示施設ではありませんでした。設立以来、演劇やダンスのパフォーマンス、歴史的工芸品の展示などを開催し、地域社会の文化活動の中心地としての役割を果たしてきました。

1933年には、ジョージ・バランシンのアメリカへの移民を支援し、ニューヨーク・シティ・バレエ団の設立に貢献するなど、芸術文化の発展に大きく寄与しました。

さらに、アメリカで初めてシュルレアリスム展やパブロ・ピカソの大規模な回顧展を開催するなど、アメリカにおける近代美術の普及にも貢献しました。

未来への展望

2010年には大規模な改修工事が行われ、展示空間の拡張やコレクションの再構成が行われました。これからも、ワズワース・アテネウム美術館は、アメリカを代表する美術館として、その歴史と伝統を守りながら、新たな魅力を創り出し続けることでしょう。

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