ワーク・ソング (アルバム)

ワーク・ソング (Work Song)



ナット・アダレイによるアルバム『ワーク・ソング』は、1960年1月にリバーサイド・レコードからリリースされた作品であり、彼のキャリアにおいて重要な位置を占めています。このアルバムには、アダレイに加えて、ボビー・ティモンズ、ウェス・モンゴメリー、サム・ジョーンズ、パーシー・ヒース、キーター・ベッツ、ルイ・ヘイズといった才能豊かなミュージシャンが参加しており、トリオからセクステットまで多様な編成で演奏が行われています。

特に注目すべきは、一部のトラックで用いられているチェロのピッツィカート奏法です。この奏法は通常のジャズ演奏ではあまり見られない技法であり、アルバムに独自の色合いを加えています。タイトル曲である「ワーク・ソング」は、後にオスカー・ブラウン・ジュニアが歌詞を付け、同じ1960年に発表されたアルバム『Sin And Soul...and then some』でも取り上げられたことから、ジャズのスタンダード曲として親しまれるようになりました。また、1967年にはクロード・ヌガロが「Sing Sing song」というフランス語の歌詞を持つカバーを発表し、国際的な存在感を示しました。

評価と特徴



『ワーク・ソング』はアダレイの代表作の一つとして位置付けられており、その評価は高いものです。オールミュージックのレビューでは、スコット・ヤナウが星4.5を付け、「古典的作品に近い」と評価し、アダレイが絶頂期の姿を保ちながら叙情的に演奏していることを強調しています。『The Penguin Guide to Jazz』も同様に星4を付け、アルバムが持つファンキーなブルース感覚や予想外の叙情感に着目しました。

収録曲



アルバムには以下の楽曲が収録されています（特記のない限り、いずれもナット・アダレイの作曲です）。

  • - ワーク・ソング - "Work Song" - 4:15
  • - プリティ・メモリー - "Pretty Memory"（ボビー・ティモンズ）- 3:54
  • - アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー - "I've Got a Crush on You"（ジョージ・ガーシュウィン、アイラ・ガーシュウィン）- 2:55
  • - ミーン・トゥ・ミー - "Mean to Me"（フレッド・E・アラート、ロイ・ターク）- 5:01
  • - フォールアウト - "Fallout" - 4:54
  • - サック・オブ・ウォー - "Sack of Woe" - 4:28
  • - マイ・ハート・ストゥッド・スティル - "My Heart Stood Still"（ロレンツ・ハート、リチャード・ロジャース）- 6:25
  • - コートにすみれを - "Violets for Your Furs"（トム・アデア、マット・デニス）- 3:50
  • - スクランブル・エッグ - "Scrambled Eggs"（サム・ジョーンズ）- 3:20

録音情報



このアルバムはニューヨーク市リーヴス・サウンド・スタジオで録音されました。具体的には、トラック2、4、5、7が1960年1月25日に録音され、トラック1、3、6、8、9は1960年1月27日に録音されました。「アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー」については、録音に不完全な部分があり、演奏の冒頭で本来示されるべきテーマが提示されず、曲の終わりに至ると即興演奏のみによる曲になってしまっています。これはマスターテープ作成時のエラーによるものと考えられています。

パーソネル



このアルバムに参加したミュージシャンは以下の通りです。


『ワーク・ソング』は、アダレイの叙情的で切ないコルネットのメロディーと共に、彼の創造力溢れる音楽ファッションが詰まった名盤です。

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