ヴァルター・クルピンスキー

ヴァルター・クルピンスキーの生涯

生い立ち

ヴァルター・クルピンスキーは1920年11月11日、東プロイセンのドムナウ（現ロシア・カリーニングラード州ドムノヴォ）で生まれました。公務員の家庭で育ち、ブラウンスベルク（現在のポーランド・ヴァルミア＝マズールィ県ブラニェヴォ）で過ごしました。彼は小学校を卒業後、中等教育を経て1938年にアビトゥーアを取得。この頃、軍人としての道を志すことを決心します。当初は海軍の士官を望んでいましたが、後に空軍のパイロットに転向します。

第二次世界大戦への出陣

1939年、クルピンスキーは士官候補生としてドイツ空軍に入隊しました。その年の11月から翌年の10月にかけて戦闘機パイロットの訓練を受け、1940年11月には第52戦闘航空団第6中隊に配属されます。その後、イギリス方面の作戦に参加しましたが、戦果は上がりませんでした。
彼は1941年、バルバロッサ作戦の初期にて初撃墜を記録し、1941年12月までに7機の敵機を撃墜。その後、1942年の8月には撃墜数が50に達し、ドイツ十字章を授与されることになりました。更に、その後も6機を撃墜し、騎士鉄十字章を受章します。

1943年には中隊長に昇進し、エーリヒ・ハルトマンと共に部隊で戦うこととなります。ハルトマンはクルピンスキーの近接射撃技術を学び、後に彼自身が撃墜王となります。1944年4月までにクルピンスキーは174機を撃墜し、騎士鉄十字章は柏葉付きに昇格されました。その後、クルピンスキーは東部戦線から内地に転属となり、第5戦闘航空団第1中隊の指揮官を任されます。

1944年6月、連合軍がフランスに侵攻する際には、クルピンスキーはノルマンディーで低高度の地上支援任務に従事。彼は8月12日に負傷するまでに、10機の連合軍機を撃墜することに成功しました。1945年4月には、最新鋭のジェット戦闘機Me262を使って戦った第44戦闘航空団に配属されます。この部隊はエースパイロットたちによって編成されていました。

1945年4月24日、彼は最後の出撃でアメリカ陸軍航空軍のB-26編隊に挑みますが、同日にはアメリカ軍の捕虜となり、これをもって彼の戦争が終わりました。彼は戦争中に197機を撃墜し、4回の緊急脱出を経験し、5回の負傷を負いました。

戦後の活躍

1952年9月、クルピンスキーは捕虜収容所を脱出し、翌11月には連邦国防省の前身であるブランク局でアドバイザーとして働き始めます。1957年にはドイツ連邦軍が発足し少佐に昇進、イギリスでの研修を経て同年に第33戦闘爆撃航空団の司令官に就任しました。彼はその後も昇進を続け、1966年には准将、1969年には少将に昇進し、1971年にはNATO軍ATAFの参謀長を任されました。その後、1974年に空軍指揮司令部の司令官となりますが、1976年のルーデルスキャンダルにより早期退役を余儀なくされました。彼の最終的な軍階級は中将でした。
退役後はノインキュルケ-シールシードで静かに隠棲し、2000年に同地で亡くなりました。

家族について

彼の父は第一次世界大戦に従軍し、戦後は公務員として働きました。第二次世界大戦の際には兵士として召集され、戦争が終わった後も再び公務員に戻ります。クルピンスキーには二人の弟がいて、ポールは海軍の潜水艦隊に所属しましたが1944年にノルウェー沿岸で戦死。もう一人の弟ギュンターは1945年にオストプロイセンから脱出し、1970年に癌で亡くなりました。クルピンスキーは妻との間に一人娘をもうけ、彼女は空軍将校と結婚しました。また、彼には孫が二人いました。

受章歴

クルピンスキーは数多くの勲章を受章しました。戦傷章や空軍名誉杯を受賞し、金色ドイツ十字章や鉄十字章も授与されています。また、柏葉付き騎士鉄十字章やその他の勲章も受け取りました。これらの受章は、彼の戦争における多大な功績を証明するものでした。

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