ヴァルミア＝マズールィ県

ポーランド北部の宝、ヴァルミア＝マズールィ県

ヴァルミア＝マズールィ県は、ポーランド北部に位置する県で、県都はオルシュティンです。バルト海に面し、ロシアのカリーニングラード州、そしてポドラシェ県、マゾフシェ県、クヤヴィ・ポモージェ県、ポモージェ県と隣接しています。かつては東プロイセンの一部であり、その歴史は古く、様々な文化が交錯した複雑な足跡を残しています。

歴史の重層：プロシアからポーランドへ

この地域は、古くから「プロシア」と呼ばれていました。バルト・ドイツ人の多くが住む都市が点在し、ドイツ騎士団の支配下にありましたが、1440年、プロシア同盟が結成され、ポーランド王国への服従を宣言します。激しい抗争の後、1466年、この地の西部はポーランド王領プロイセンとなり、東部はポーランド王国に従属するドイツ騎士団領となりました。

1525年、ドイツ騎士団は世俗化し、プロシア公領となります。その後、1660年のオリヴァ条約でプロイセン公国として独立。1701年にはプロイセン王国となり、1772年の第一次ポーランド分割によって、王領プロイセン全域がプロイセン王国に併合されました。

第一次世界大戦後、ポーランドが独立すると、ヴェルサイユ条約によりエルブロンクを含む西プロイセン地方がポーランド領となり、東部はドイツ領東プロイセンとなりました。第二次世界大戦中はナチス・ドイツの実効支配下に置かれ、1945年の終戦後、ソ連軍の占領を受けました。ヤルタ会談の結果、ポーランドは西プロイセン全域とドイツ領東プロイセン南半分を獲得し、それが現在のヴァルミア＝マズールィ県となりました。1999年の県合併を経て、現在の行政区域が確立されました。

美しい自然と歴史的魅力：地域区分と観光地

ヴァルミア＝マズールィ県は、多くの郡と2つの特別市（エルブロンク、オルシュティン）から構成されています。各郡には、歴史的な都市や町々が点在しています。例えば、

マズールィ湖水地方: 数十もの湖、森林、湿地が広がる美しい景観は、スカンジナビア氷床の活動によって形成されました。ウクナイノ湖はユネスコの生物圏保護区およびラムサール条約登録湿地にも指定されています。古儀式派の村落や独特の建築様式も見どころです。
バルチャニ: 古プロシア人の村として始まり、ドイツ騎士団の砦が築かれた歴史を持つ町です。中世の城や教会が残されています。
エルブロンク: ハンザ都市として栄え、複雑な歴史をたどった街です。第二次世界大戦による破壊の後、市民の手によって旧市街が復元されつつあります。運河やフェリーによる観光クルーズも楽しめます。
フロムボルク: コペルニクスが晩年を過ごし、『天球の回転について』を著した地として知られています。コペルニクスの墓所が発見され、大聖堂やコペルニクス博物館は観光名所となっています。フェリーによる観光クルーズも可能です。
グルンヴァルト: 1410年のグルンヴァルトの戦い（ドイツ名：タンネンベルクの戦い）の戦場跡です。毎年、戦いを再現する大規模な祭典が開催されます。
ミコワイキ、ムロンゴヴォ、オルシュティン、オストルダ: マズールィ湖水地方に位置するリゾートタウンとして発展している街々です。それぞれの街に歴史的建造物や自然景観が見られます。これらの都市は、かつてプロイセン王国領であり、第二次世界大戦によって破壊された旧市街が戦後復興されたという共通の歴史を持っています。

ヴァルミア＝マズールィ県は、歴史と自然の両方を満喫できる魅力的な地域です。多様な観光資源と、それらを繋ぐフェリーや遊覧船の航路は、旅行者に忘れられない体験を提供します。各都市には公式サイトがあり、より詳細な情報を得ることができます。

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