ヴァレーゼ県

ヴァレーゼ県 (Provincia di Varese)

イタリア共和国ロンバルディア州に位置する県の一つで、州の北西部に細長く延びています。県都はヴァレーゼ市です。

地理

ヴァレーゼ県は、ロンバルディア州の中でも北西端に位置し、その県域は南北に細長く広がっています。北部ではスイス連邦と国境を接しており、特にティチーノ州のロカルノ郡、ルガーノ郡、メンドリージオ郡と隣り合っています。西側はイタリアのピエモンテ州に接しており、ノヴァーラ県やヴェルバーノ・クジオ・オッソラ県と境を共有しています。また、同じロンバルディア州内では、南東にコモ県、南にミラノ県が隣接しています。山や湖などの豊かな自然に恵まれた地域でもあります。

歴史

ヴァレーゼ県は、比較的新しい行政区分です。1927年1月2日に創設されました。これは、それまでコモ県とミラノ県に属していたいくつかのコムーネ（基礎自治体）を統合・編入することで、新たな県として設置されたものです。この設立により、ロンバルディア州における行政区分が再編成されました。

行政区画

ヴァレーゼ県には、多くの基礎自治体であるコムーネが含まれています。2023年1月1日現在では、合計で136のコムーネが所属しています。近年では、複数のコムーネが合併し、新しいコムーネが誕生する動きも見られます。例えば、2014年にはマッカーニョ、ピーノ・スッラ・スポンダ・デル・ラーゴ・マッジョーレ、ヴェッダスカが合併してマッカーニョ・コン・ピーノ・エ・ヴェッダスカが、2019年にはカドレッツァーテとオズマーテが合併してカドレッツァーテ・コン・オズマーテが、そして2023年にはバルデッロ、マルジェッソ、ブレーガノが合併してバルデッロ・コン・マルジェッソ・エ・ブレーガノがそれぞれ発足しています。主要なコムーネとしては、県都ヴァレーゼの他、ブスト・アルシーツィオ、ガッララーテ、サロンノなどが挙げられます。

主要都市

2001年の国勢調査に基づくと、県内には人口1万5000人を超える複数の主要な居住地区があります。人口が多い順に以下の都市が挙げられます。

ヴァレーゼ
ブスト・アルシーツィオ
ガッララーテ
サロンノ
カッサーノ・マニャーゴ
トラダーテ

これらの都市は、県の経済活動や文化の中心となっています。

経済と産業

ヴァレーゼ県は、古くから工業が盛んな地域として知られています。特に航空機、自動車、バイク製造などの分野で重要な役割を果たしており、国際的にも知られる航空機・自動車・バイク製造メーカーであるアエルマッキ社は、県内のヴェネゴーノ・スペリオーレに本社を置いています。

観光

豊かな自然景観に加え、ヴァレーゼ県には歴史的に重要な観光資源も存在します。中でも、ユネスコの世界遺産「イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡 (568-774年)」の一部として登録されているカステルセプリオの遺跡群は特筆されます。ここには、ロンゴバルド族の時代の城塞の一部であるトルバ塔や、その城壁の外側に位置するサンタ・マリア・フォリス・ポルタス教会などがあり、当時の建築様式や歴史を今に伝えています。

スポーツ

サッカーも盛んで、県内に本拠地を置くプロサッカークラブが存在します。ASヴァレーゼ1910は県都ヴァレーゼを本拠とし、過去にはセリエB（2部リーグ）に所属していました（2012-13シーズン時点）。また、ブスト・アルシーツィオを本拠とするプロ・パトリア・カルチョも、レガ・プロ2（4部リーグ）などで活動していました（同シーズン時点）。

著名な人物

ヴァレーゼ県およびその周辺地域は、様々な分野で活躍した多くの著名人を輩出しています。例を挙げると、近代陸上競技の先駆者の一人であるカルロ・アイロルディ（オリッジョ生まれ）、自転車ロードレースのジロ・デ・イタリア初代総合優勝者ルイージ・ガンナ（インドゥーノ・オローナ生まれ）、独特のデザインで知られる自動車デザイナーのフラミニオ・ベルトーニ（ヴァレーゼ生まれ）、ノーベル文学賞を受賞した劇作家・演出家のダリオ・フォ（サンジャーノ生まれ）、イタリアを代表する歌手の一人ミーナ・マッツィーニ（ブスト・アルシーツィオ生まれ）、政治家で北部同盟の設立者ウンベルト・ボッシ（カッサーノ・マニャーゴ生まれ）、経済学者でイタリア共和国首相を務めたマリオ・モンティ（ヴァレーゼ生まれ）、サッカー史に残る名選手ルイージ・リーヴァ（レッジューノ生まれ）、自転車ロードレース選手のクラウディオ・キアプッチ（ウボルド生まれ）やステファノ・ガルゼッリ（ヴァレーゼ生まれ）などがいます。また、著名な児童文学作家ジャンニ・ロダーリは、ヴァレーゼの小学校で教鞭をとったゆかりの人物として知られています。

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