ヴィアチェスラフ・ヤノフスキー

ヴィアチェスラフ・ヤノフスキーは、1957年2月8日に現在のベラルーシ、ヴィーツェプスクで生まれた元プロボクサーです。アマチュア時代にオリンピックで金メダルを獲得するという輝かしい実績を築き、その後プロの世界に転じ、日本を主な活動拠点として複数のタイトルを獲得しました。

輝かしいアマチュアキャリア

ヤノフスキーは、旧ソビエト連邦のアマチュアボクシング界で才能を開花させました。特に彼のキャリアのハイライトとなったのは、1988年に韓国のソウルで開催されたオリンピックです。この大会にライトウェルター級のソビエト代表として出場したヤノフスキーは、世界の強豪を相手に勝ち進み、見事に金メダルを獲得しました。このアマチュアボクシングの頂点での成功は、彼の名を世界に知らしめることとなりました。

プロへの転身と日本でのスタート

オリンピックでの金メダル獲得という偉業を成し遂げた後、ヤノフスキーはプロボクサーとしての新たな挑戦を決意します。1989年、同じくソビエト出身でオリンピックメダリストだった勇利アルバチャコフ、オルズベック・ナザロフらと共に、日本のプロモーターであるアントニオ猪木の橋渡しもあり、日本へ渡りました。日本の名門ボクシングジムである協栄ボクシングジムに入門し、日本をプロ活動の拠点と定めます。

1990年2月1日、「スラフ・ヤノフスキー」のリングネームでプロデビューを果たしました。アマチュア仕込みの卓越したボクシング技術、特に優れたディフェンス勘と正確なカウンターパンチを武器に、日本のリングで連勝を重ねていきました。

日本王座獲得と長期政権

プロ転向からわずか1年余りで、ヤノフスキーは日本のトップ戦線に浮上します。1991年3月9日、当時日本スーパーライト級王座を保持していた強敵リック吉村に挑戦。ベテラン王者を相手に巧みな試合運びを見せ、判定で勝利を収め、第23代日本スーパーライト級チャンピオンとなりました。その後、ヤノフスキーはこの日本王座を計6度にわたり防衛。その安定した強さから「精密機械」とも称され、日本のボクシングファンに強いインパクトを与えました。

海外でのタイトル獲得とキャリア唯一の敗戦

日本王座を6度防衛した後、ヤノフスキーは活動の場をさらに広げます。階級をウェルター級に上げ、1993年1月28日にはロシアウェルター級王座とCISBBウェルター級王座を同時に獲得。同年9月18日には、ドイツインターナショナルウェルター級王座も獲得するなど、海外でもタイトルを手にしました。順調にキャリアを積む中、1995年4月15日に行われたIBFインターコンチネンタルウェルター級タイトルマッチで、エドウィン・ムリーニョと対戦します。この試合で10回KO負けを喫し、これが彼のプロキャリアにおける唯一の敗戦となりました。

PABA王座獲得と引退

キャリア唯一の敗戦から立ち直ったヤノフスキーは、再びスーパーライト級に戻して再起を図ります。1996年9月7日には、パンアジアボクシング協会（PABA）のスーパーライト級王座決定戦に出場し、勝利して第3代PABAスーパーライト級王者に輝きました。この王座を1度防衛することに成功しましたが、1997年9月3日に王座を剥奪されるという形でPABA王座を手放すこととなります。

1997年、ヴィアチェスラフ・ヤノフスキーはプロボクサーとしてのキャリアに終止符を打ちました。プロ通算戦績は32戦30勝（16KO）1敗1分。オリンピック金メダリストというアマチュアでの頂点を経験した後、プロでも日本王座の長期保持や海外タイトルの獲得など、国内外で成功を収めた稀有な存在として、ボクシング史にその名を刻んでいます。

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