ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー

ゲイリー・ムーアの6作目のスタジオ・アルバム『ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー』（Victims of the Future）は、1984年にヴァージン・レコード傘下の10レコードからリリースされました。日本で先行発売され、当時の日本盤タイトルは『炎の舞』でした。

背景

1983年のアメリカ・ツアーで、キーボード担当のドン・エイリーが参加できなくなった際、元UFOのニール・カーターが代役として加入。カーターは本作の曲作りにも貢献し、その後もムーアとの共同作業を続けました。「ティーンエイジ・アイドル」と「マーダー・イン・ザ・スカイズ」に参加したボブ・デイズリーは、その後もムーアの多数のアルバムに参加。スレイドのノディ・ホルダーがゲスト参加している点も注目されます。

「シェイプス・オブ・シングス」はヤードバーズのカヴァーですが、ジェフ・ベックが『トゥルース』で再演したバージョンに基づいたアレンジが施されています。「マーダー・イン・ザ・スカイズ」は、ソ連戦闘機による大韓航空機撃墜事件をテーマにした曲です。

「エンプティ・ルーム」は、1985年のアルバム『ラン・フォー・カヴァー』でリメイクされ、両バージョンがシングルとしてリリースされています。

本作は、ムーアの音楽性がヘヴィメタル色を強めていた時期の作品とされていますが、ムーア自身は「ヘヴィメタル・ギタリストではなく、ロックンロール・ギタリストだ」と語っています。

リリース

本作は「来日記念盤」として日本で先行発売され、日本初回盤では「オール・アイ・ウォント」が外され、「デヴィル・イン・ハー・ハート」が収録されていました。曲順もイギリス盤とは異なりました。アメリカ盤LPも同様に「デヴィル・イン・ハー・ハート」が収録され、曲順は日本盤ともイギリス盤とも異なっています。後のCDはイギリス盤に準拠した内容となりました。

2002年のリマスターCDには、「デヴィル・イン・ハー・ハート」を含む3曲がボーナス・トラックとして収録。「ブラインダー」はクレイグ・グルーバー（元エルフ〜レインボー）の楽曲で、シングル「シェイプス・オブ・シングス」のB面に収録されていました。

反響

アルバムは全英アルバムチャートで最高12位、スウェーデンで15位、オリコンLPチャートで16位を記録。「ホールド・オン・トゥ・ラヴ」は全英シングルチャートで65位、「エンプティ・ルーム」は51位を記録しました。

評価

オールミュージックのEduardo Rivadaviaは5点満点中4.5点を付け、「ムーアは彼のキャリアにおいて特に音数の多いギターで聴き手を強襲している」と評価。Ultimate Classic Rockでは、「マーダー・イン・ザ・スカイズ」がゲイリー・ムーアの曲トップ10の7位に選ばれています。

ツアー

本作に伴うツアーのライヴ音源は、ライヴ・アルバム『ウィ・ウォント・ムーア!』（1984年）に収録。メンバーはムーア（ギター、ボーカル）、ニール・カーター（キーボード、ギター、ボーカル）、クレイグ・グルーバー（ベース）、イアン・ペイスとボビー・チョウナード（ドラムス）。その後、ボブ・デイズリーがグルーバーの後任として加入しました。

収録曲

(各国のLP、CDの収録曲リストは省略)

参加ミュージシャン

(参加ミュージシャンのリストは省略)

もう一度検索