ヴィラ・ファルネジーナ

ヴィラ・ファルネジーナ：ルネサンスの華麗なる邸宅

ローマのトラステヴェレ地区、ジャニコロの丘の東端に位置するヴィラ・ファルネジーナは、「ルネサンスの宝石」と称される美しい2階建てのヴィラです。この邸宅は、教皇ユリウス2世の会計係であったシエナの富豪、アゴスティーノ・キージによって16世紀初頭に建てられました。建築とデザインは、ブラマンテの弟子であるシエナの芸術家、バルダッサーレ・ペルッツィが、ジュリアーノ・ダ・サンガッロの協力を得て担当しました。

ヴィラの建設は1506年から1510年の間に行われましたが、内部装飾が完了したのは1520年頃とされています。当時は「ヴィラ・キージ」と呼ばれていました。都市型のパラッツォとは異なり、ファサードが通りに面していない点が特徴的です。コの字型のプランを持ち、アームの間には5ベイのロッジアが設けられています。当初はロッジア側が入り口でしたが、現在は南側が正面入り口となっています。見学者は、東側にあるチケット売り場から「ガラテアの間」、「ロッジア」、「帯状装飾の間」の順に巡ることができます。

16世紀末には、アレッサンドロ・ファルネーゼによって購入され、対岸のパラッツォ・ファルネーゼと区別するために、「ファルネジーナ」と呼ばれるようになりました。18世紀にはブルボン家の所有となり、その後紆余曲折を経て、1928年にはイタリア王立アカデミーの本拠地となる計画がありました。しかし、1944年にアカデミーが禁止されると、アッカデーミア・デイ・リンチェイの所有となり、現在に至っています。

現在、ヴィラ・ファルネジーナは賓客を迎える施設として使用される一方、内部の部屋やロッジアは一般にも公開されており、その美しさを堪能することができます。特に、ラファエロや他の著名な芸術家たちによるフレスコ画は、訪れる人々を魅了してやみません。

ヴィラの見どころ

ガラテアの間 (Sala di Galatea): ラファエロが描いた「ガラテアの勝利」のフレスコ画が有名です。海のニンフであるガラテアが、海の生き物や神々とともに描かれています。色彩豊かで躍動感のある作品は、ルネサンス美術の傑作の一つです。
ロッジア (La Loggia): ラファエロの弟子たちによって装飾されたロッジアは、「アモーレとプシュケの間」とも呼ばれます。天井には、プシュケとアモルの物語が描かれたフレスコ画が広がり、古代神話の世界へと誘います。
帯状装飾の間 (Sala del Fregio): 壁面にフリーズ（帯状装飾）が施されたこの部屋は、古代ローマのモチーフが描かれています。繊細で美しい装飾は、ルネサンス時代の洗練された美意識を伝えています。

ヴィラ・ファルネジーナは、その歴史と芸術的価値から、ローマを訪れる観光客にとって必見の場所の一つです。ルネサンス美術の粋を集めたこの美しい邸宅を、ぜひ訪れてみてください。

ギャラリー

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外部リンク

ヴィラ・ファルネジーナに関するウィキメディア・コモンズのカテゴリ
公式ウェブサイト（注：音あり）（イタリア語）（英語）
公式の日本語PDF(2016) (PDF) - 開館時間、アクセス、2階の平面図の一部もあり。

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