デトモルト

デトモルト：歴史と文化が息づくドイツの古都

デトモルトは、ドイツ連邦共和国ノルトライン＝ヴェストファーレン州の東部、オストヴェストファーレン＝リッペ地方に位置する都市です。人口約73,000人を擁し、リッペ郡最大の都市として知られています。この街は、ハノーファーの南西約100km、ビーレフェルトの東約30kmに位置し、デトモルト音楽大学やオストヴェストファーレン＝リッペ大学があることから大学都市としても有名です。

歴史

デトモルトは、1468年から1918年までリッペ家の宮廷都市として、その後1918年から1947年までリッペ自由州の州都として栄えました。リッペ州は1947年にノルトライン＝ヴェストファーレン州に併合されましたが、デトモルトはその後もデトモルト行政管区の本部所在地としての役割を担い、地域の中核都市としての地位を維持しています。

地理

デトモルトは、トイトブルクの森/エッゲ山地自然公園の辺縁部に位置し、市域の南部はトイトブルクの森に覆われています。市内には、クノーヒェンバッハ川とハイデンバッハ川が合流するヴェレ川が流れ、豊かな自然に恵まれています。また、地質学的な多様性も特徴で、オスニングの尾根が市街地の南部に延び、トイトブルクの森を形成しています。

気候

デトモルトは、北西ドイツの海洋性気候地域に位置し、年間平均気温は約9℃です。年間降水量は約900mmで、トイトブルクの森ではこれよりも多く降ります。年間平均日照時間は955kW時/m2です。

歴史の詳細

中世と市の創設

デトモルトは、783年に「Theotmalli」として初めて記録されました。これは、古高ドイツ語・古ザクセン語で「ディング（裁判）の開催地」を意味します。1263年には、リッペの領主ベルンハルト3世によってリッペの都市権を与えられました。中世の都市計画は、交差する通りと、それを囲む円形の環状路で構成されており、城が北西部に位置していました。

宗教改革と三十年戦争

デトモルトは、リッペ地方教会の所在地となりました。リッペの宗教改革はベルンハルト8世の治世下で行われ、最初はルター派の信仰が広まりましたが、後にカルヴァン主義も浸透しました。三十年戦争では、ペストの流行や軍隊の行軍、略奪によって大きな被害を受けました。

市壁の開放と啓蒙主義の時代

18世紀には、フリードリヒ・アドルフ伯によって市壁が破壊され、南に新市街が建設されました。啓蒙主義の時代には、リッペ侯妃パウリーネの尽力により、養護施設、孤児院、病院などの社会施設が整備され、1802年にはドイツ初の幼稚園が創設されました。

工業化の時代とドイツ帝国

19世紀末には、デトモルトの人口が急増し、手工業者の街から近代的な侯国の首都へと発展しました。水道網が整備され、シナゴーグも建設されました。第一次世界大戦では、多くの兵士が戦死し、弾薬工場の爆発事故も起こりました。

ヴァイマル共和政と第三帝国

ヴァイマル共和政時代には、社会民主党 (SPD) が政治的権力を握りましたが、後にナチスが台頭し、1933年の選挙で勝利しました。ナチス政権下では、ユダヤ人への迫害が行われ、シナゴーグが焼き払われ、多くのユダヤ人が強制収容所に送られました。第二次世界大戦中、デトモルトは爆撃の標的となることはほとんどありませんでしたが、1945年4月にアメリカ軍に占領されました。

戦後

戦後、デトモルトはノルトライン＝ヴェストファーレン州の一部となり、行政管区の本部所在地としての役割を維持しました。また、難民や疎開民の流入により人口が増加し、1950年には約30,000人となりました。イギリス軍が駐留した時期もありましたが、1995年に撤退しました。

市の構成

デトモルトは、27の地区で構成されています。

宗教

デトモルトは、中世にはパーダーボルン大司教区およびミンデン司教区に属していましたが、宗教改革以降は主にプロテスタントの地域となりました。また、ユダヤ教徒も存在しましたが、ナチス時代に迫害を受けました。

行政

デトモルトの市議会は46議席で構成され、市長が議長を務めます。2020年からはフランク・ヒルカーが市長を務めています。デトモルト市は、1955年に旧デトモルト市に与えられた紋章を継承しています。

姉妹都市

デトモルトは、以下の5都市と姉妹都市協定を結び、1都市と友好都市協定を結んでいます。

サントメール (フランス)
ハッセルト (ベルギー)
ツァイツ (ドイツ)
サヴォンリンナ (フィンランド)
オレオカストロ (ギリシャ)
ヴェローナ (イタリア)

文化と見所

デトモルトには、ヴェストファーレン野外博物館やリッペ州立博物館などの博物館があります。また、デトモルト州立劇場では、様々な演劇が上演され、音楽イベントも盛んに行われています。その他、歴史的な建造物や公園も多く、観光客にとって魅力的な都市です。

博物館・美術館

ヴェストファーレン野外博物館
リッペ州立博物館
ドイツ系ロシア人文化史博物館

演劇

デトモルト州立劇場
ヨーロッパ・ストリートシアター・フェスティバル・デトモルト

音楽

デトモルト音楽大学
マイスターケーレ・カメラータ・ヴォカーレ
リッペ・フィルハーモニー合唱団
デトモルト・シュロスシュパッツエン

スポーツ

TSV デトモルト・フォン 1911
デトモルダー・トゥルンフェライン・フォン 1860

その他の観光スポット

デトモルト城
救世主教会
市庁舎
宮殿
クリストゥス教会
マルティン＝ルター教会
フリードリヒスタール運河
城館公園
宮殿庭園
ヘルマン記念碑
ドノパータイヒ
ベルレベック鷲園
ハイリゲンキルヒェン鳥類園
ファルケンブルク城趾
オプファーシュタイン
* エクステルンシュタイネ

食文化

デトモルトの郷土料理としては、リッピシェ・ピッケルトが有名です。これは、ジャガイモのパンケーキで、テンサイのシロップやレバーペーストと一緒に食べられます。

経済と社会資本

デトモルトには、ヴァイトミュラーやヴォルトマン・シュー＝ホールディングKGなどの大企業があります。交通網としては、鉄道、バス、航空便があり、自転車道や歩行者専用道路も整備されています。また、メディアとしては、ラジオ・リッペやリッピシェ・ランデス＝ツァイトゥングなどの地元メディアがあります。

教育

デトモルトには、多くの基礎課程学校、本課程学校、実科学校、ギムナジウム、総合学校、養護学校、職業高等専門学校、大学などがあります。また、栄養および食品の連邦研究所もあります。

人物

デトモルト出身の著名な人物としては、詩人のフェルディナント・フライリヒラートやクリスティアン・ディートリヒ・グラッベ、ユダヤ学者のレーオポルト・ツンツなどがいます。また、アルベルト・ロルツィングやヨハネス・ブラームスもデトモルトで活躍しました。

デトモルトは、歴史と文化が豊かで、自然と都市が調和した魅力的な都市です。観光客だけでなく、地元住民にとっても住みやすい街であり、今後も発展していくことが期待されます。

もう一度検索