ヴィンセンス (戦闘スループ)

ヴィンセンス（USS Vincennes）

ヴィンセンスは1826年に就役し、1865年に退役したアメリカ海軍のボストン級戦闘スループです。艦の名前は、アメリカ独立戦争時のヴィンセンスの戦いに由来し、その歴史的背景を持つ艦船です。艦は同時期において太平洋の航行や南極探査、南北戦争の戦火において重要な役割を果たしました。特筆すべきは、ヴィンセンスがアメリカ海軍の艦船として初めて地球を一周したことです。

建造と就役

初代ヴィンセンスは、1825年にアメリカ合衆国下院で10隻の建造が承認されたボストン級スループの一隻として、ブルックリン海軍工廠にて建造が始まりました。進水後、同年の8月27日に就役し、最初の艦長にはウィリアム・ボルトン中佐が任命されました。

世界一周航海

1826年9月3日、ニューヨークを出港したヴィンセンスは、ホーン岬を経由し、南アメリカを回って太平洋に向かいます。1830年にはハワイ諸島とマカオに寄港し、その後フィリピン、インド洋を経由して帰国しました。この航海は約4年間におよび、艦長のチャールズ・スチュワートはその経験を基に書籍も出版しました。しかし、1830年6月8日、任務を解かれることとなりました。

西インド諸島での任務

艦の修理後、1831年から1832年にかけてヴィンセンスは西インド諸島やメキシコ湾での任務に従事し、南北戦争前の重要な活動を行いました。特に黄熱病との厳しい戦いの後、艦は任務を離れることになりました。

グアム訪問と再度の地球一周

1833年、再び太平洋へ向かうヴィンセンスは、グアムを訪れた最初のアメリカ軍艦となりました。その後、1836年に東海岸に帰還し、二度目の地球一周を果たしました。

南極調査への貢献

1838年から1842年にかけて、ヴィンセンスはウィルクス調査探検隊の旗艦として活躍しました。この任務では、南米沿岸や南太平洋における調査を行い、現在でも使用される地図の作成に寄与しました。1841年には、ヴィンセンスが航海した沿岸部が『ウィルクスランド』と名付けられるに至ります。

南北戦争とその後

1861年4月の南北戦争の勃発に伴い、ヴィンセンスは新たに再就役し、メキシコ湾の封鎖任務に従事しました。数々の危険な状況下でも艦の任務を果たし続け、戦後の1865年には退役し、最終的に競売で売却されることとなりました。

この艦の歴史は、アメリカ海軍の発展と国際的な関わりを象徴するものとなっており、ヴィンセンスは現在もその遺産として語り継がれています。

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