ヴォロガセス3世

ヴォロガセス3世：内戦の時代を生きたパルティア王

ヴォロガセス3世（生年不詳 - 147年、在位：105年 - 147年）は、アルサケス朝パルティアの王です。彼は王位を宣言して以来、絶え間ない内戦を戦い抜き、激動の時代を生き抜きました。

王位簒奪と内戦

ヴォロガセス3世は、パコルス2世の死の直前にパルティア東部で王位を宣言し、パコルス2世の兄弟で後継者であるオスロエス1世と対立しました。オスロエス1世はパルティア西部を支配していましたが、その治世は安定を欠き、ヴォロガセス3世との間で内戦が繰り広げられました。

ローマ帝国の侵攻

115年、ローマ皇帝トラヤヌスがパルティアに侵攻します。当時のパルティアは、オスロエス1世の内部分裂によって有効な対策を講じることができず、首都クテシフォンは陥落し、略奪の憂き目に遭いました。さらに、バビロニアがローマの支配下に入るという事態も発生しました。

しかし、トラヤヌスの後を継いだローマ皇帝ハドリアヌスは、バビロニアからの撤退を決定します。これにより、パルティアは一時的に危機を脱しますが、オスロエス1世は西部領土を完全に掌握するには至りませんでした。

ミトラダテス4世の登場とアラン人の侵入

129年にオスロエス1世が死去すると、同じくパコルス2世・オスロエス1世の兄弟であるミトラダテス4世が西部支配を継承します。ミトラダテス4世が地位を継承した頃、ヴォロガセス3世が支配していたアトロパテネ王国などにはアラン人の侵入があり、ヴォロガセス3世はその対応に奔走することになります。

パルティア全土の支配へ

140年、ミトラダテス4世がローマとの戦いで戦死し、後継者とされていたシナトルケスも死亡したため、ヴォロガセス3世はパルティアのほぼ全域に支配権を及ぼすことに成功します。しかし、その支配も長くは続かず、147年にヴォロガセス3世は死去しました。

ヴォロガセス3世の死後

ヴォロガセス3世の死後、権力を握ったのはミトラダテス4世の息子であるヴォロガセス4世でした。ヴォロガセス4世は、父の遺志を継ぎ、パルティアの再興に尽力することになります。

ヴォロガセス3世の治世は、内戦と外敵の侵入に脅かされた不安定な時代でした。しかし、彼はその中でパルティアの領土を維持し、次世代へと繋ぐ役割を果たしました。彼の生涯は、激動の時代におけるリーダーシップの重要性を示唆しています。

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