ミトラダテス4世

ミトラダテス4世 (パルティア王)

ミトラダテス4世は、アルサケス朝パルティアの王であり、129年から140年まで在位しました。彼は、パルティア西部を支配していたオスロエス1世の勢力を継承しました。

生涯

ミトラダテス4世は、ヴォノネス2世の息子とされています。ヴォロガセス2世、パコルス2世、オスロエス1世とは兄弟の関係にあたると伝えられていますが、ヴォノネス2世の崩御年とミトラダテス4世自身の即位年から考えると、この系図には疑問が残ります。もしこの系図が正しいとすれば、彼は78歳という高齢で即位したことになります。

オスロエス1世と共にパルティア西部で勢力を拡大し、東部を支配するヴォロガセス3世に対抗しました。しかし、アルメニア王国の王位継承を巡る問題から、ローマ帝国の皇帝トラヤヌスの侵攻を受け、首都クテシフォンを含むバビロニア全域がローマに占領されるという事態に陥りました。

ローマはパルタマスパテスを傀儡王としてパルティアの王位に就けましたが、オスロエス1世、ミトラダテス4世、そしてミトラダテス4世の息子であるシナトルケス2世はこれに反発し、抵抗を続けました。117年、ローマの新皇帝ハドリアヌスがバビロニアを放棄すると、オスロエス1世はパルタマスパテスを打ち破り、バビロニアの支配権を回復しました。

129年にオスロエス1世が死去すると、ミトラダテス4世がその後継者としてパルティア王となりました。東部の王ヴォロガセス3世はアラン人との戦いに忙殺されており、トラヤヌス帝との戦いの影響もあって、ミトラダテス4世の状況は不利でした。その後もローマとの戦いに明け暮れることになります。

ミトラダテス4世は、息子シナトルケス2世を後継者に指名しましたが、対ローマ戦の最中にシナトルケス2世は戦死してしまいます。ミトラダテス4世自身も、140年にローマ領コマンゲネを攻撃した際に戦死しました。この結果、パルティアの大部分はヴォロガセス3世の支配下に入りました。

しかし、ミトラダテス4世の別の息子であるヴォロガセス4世は、ヴォロガセス3世の死後に権力を握ることになります。ミトラダテス4世の治世は、ローマとの度重なる戦いによって国力を消耗させ、パルティアの勢力図を大きく変えることになりました。

もう一度検索