一勇斎歌川先生墓表

一勇斎歌川先生墓表（いちゆうさいうたがわせんせいぼひょう）

一勇斎歌川先生墓表とは、幕末の人気浮世絵師、歌川国芳（うたがわくによし）を顕彰するために、門人たちが中心となって建立した石碑のことです。

建立の経緯

この石碑は、国芳の十三回忌にあたる明治6年（1873年）10月に、国芳の門人たちによって、江戸向島の三囲神社（みめぐりじんじゃ）境内に建立されました。現在も三囲神社に現存しており、その存在を間近に感じることができます。

碑文の撰文は東條信耕（とうじょうのぶたね）、書は萩原翬（はぎわらしゅう）と梅素玄魚（ばいそげんぎょ）が担当しました。碑の裏面には、国芳を慕う門人たちの名前が連ねられています。石碑建立に先立ち、同年9月6日には、東両国の中村楼にて、国芳の娘であるよし（歌川芳女）を会主とする、建碑のための書画会が開催されました。

2011年10月19日には、その歴史的価値が認められ、墨田区指定有形文化財（歴史資料）に指定されています。

碑文の内容

碑表面には、国芳の功績を称える漢文が刻まれています。裏面には、建立に尽力した門人たちの名前が刻まれています。

表面
漢文体の文章で、国芳の画業や人となりを称える内容となっています。（詳細な碑文の内容は、参考文献の『墨田区文化財調査報告書Ⅷ』に掲載されています。）

裏面
国芳の門人たちの名前が、横並びで7段に分けて記されています。

参考文献

藤懸静也　『増訂浮世絵』　雄山閣、1946年
『墨田区文化財調査報告書Ⅷ　－漢文の石碑（1）－』　墨田区教育委員会、1988年
鈴木重三編　『国芳』　平凡社、1992年
岩切友里子　『カラー版　国芳』〈『岩波新書』（新赤版）1506〉　岩波書店、2014年
飯島虚心　『葛飾北斎伝』〈岩波文庫〉　岩波書店、1999年

関連情報

一勇斎歌川先生墓表（歌川国芳顕彰碑）　※すみだ文化財・地域資料　データベース

もう一度検索