一本松珠璣

一本松珠璣

一本松珠璣（いっぽんまつ たまき、1901年4月29日 - 1985年1月24日）は、日本の実業家であり、電気工学者でした。日本の原子力発電事業の草分け的存在として知られ、日本原子力発電株式会社の社長、最高顧問を歴任しました。最終学歴は京都帝国大学工学部電気工学科卒。工学博士。

経歴

一本松珠璣は、広島県佐伯郡能美村（現在の広島県江田島市能美町）の出身です。1924年に京都帝国大学工学部電気工学科を卒業後、大阪市電気局（現在の大阪市交通局）を経て関西配電（現在の関西電力）に入社しました。

1942年には関西配電の企画課長を経て取締役神戸支店長に就任。1945年には「大都市電力系統計画論」で工学博士の学位を取得しました。1947年に常務、1950年にはアメリカ視察のため渡米しています。1956年には、石川一郎原子力委員団長らと共に、副団長として第1回の訪英調査団に参加。世界最初の実用規模の原子力発電所であるコールダホール型原子力発電所を視察し、アメリカの状況も視察しました。

1957年、日本原子力発電株式会社が発足すると副社長に就任し、1962年には社長に就任しました。1966年には、日本最初の原子力発電所である茨城県東海原子力発電所の東海1号をイギリスから導入するなど、1977年に会長、1981年に最高顧問として長きにわたり日本の原子力発電の発展に大きく貢献しました。

1954年には関西経済同友会の代表幹事を務めました。その他、電気学会会長、原子力学会会長、原子力委員会参与などの要職を歴任しています。

1958年以降は毎年渡英し、1977年には名誉大英勲章第三位を贈られました。1978年には米国工学アカデミーの会員に選出されています。1959年には藍綬褒章、1971年には勲二等旭日重光章、1985年には叙従三位勲一等授瑞宝章を受章しました。

1971年に出版された著書『東海原子力発電所物語』は、日本初の原発建設時の苦労と反省が綴られた貴重な資料として知られています。

著書

『動力燃料総合計画論』電気書院、1948年
『東海原子力発電所物語』東洋経済新報社、1971年

親族

長男：一本松康雄（神戸電鉄社長）

脚注

参考文献：人事興信所 編『人事興信録 第38版 上』人事興信所、1995年。

関連項目

安川第五郎（実業家） - 日本原子力発電の先代社長、会長

外部リンク

原子力白書－原子力委員会
原子のムラ - 朝日新聞デジタル
衆議院会議録情報 第028回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
* 電力エネルギー開発の文化史

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