一条富子

一条富子（いちじょう とみこ）

一条富子は、寛保3年2月4日（1743年2月27日）に生まれ、寛政7年11月30日（1796年1月9日）に亡くなった日本の女性です。彼女は桃園天皇の女御であり、後桃園天皇及び伏見宮貞行親王の母として、幕末の時代において重要な役割を果たしました。富子は、准三宮・皇太后・女院としても知られ、院号は恭礼門院（きょうらいもんいん）です。

家族背景と入内

富子の父は関白の一条兼香であり、母は栄秀院（家女房）でありました。彼女の准母は権大納言の娘である飛鳥井雅豊です。このように、富子は名門の出身であり、一条家の本姓でもある藤原氏に由来するため、藤原富子とも表記されることがあります。

宝暦5年10月（1755年）には従三位に叙され、同年11月に桃園天皇に入内し、女御となります。三年後の宝暦9年3月（1759年），彼女は准三宮の宣下を受けました。しかし、同年の12月7日、桃園天皇が崩御しましたが、彼との間に儲けた第一皇子・英仁親王はまだ幼かったため、皇位は桃園天皇の姉である後桜町天皇に一時的に譲られることとなりました。

皇太后としての人生

明和7年（1770年）、英仁親王が成長し、後桜町天皇から譲位を受け、後桃園天皇として即位します。国母となった富子は、明和8年5月9日（1771年）に皇太后に冊立され、同じ年に広く知られる院号「恭礼門院」を授けられました。その後、富子は落飾し「新女院」または単に「女院」と称されるようになりました。

しかし、その後も波乱の多い日々が続きました。安永8年10月29日（1779年12月6日）には後桃園天皇が崩御し、天明3年10月12日（1783年11月6日）にはその妃である近衛維子（盛化門院）が亡くなります。富子は二人の娘、特に孫娘である欣子内親王を手元で大切に育てることがありました。欣子内親王は光格天皇のもとに入内し、中宮に昇進しました。

晩年と女院御所

富子は寛政7年（1795年）に亡くなるまで、豊かな皇室の歴史を見届けました。享年は53歳でした。

女院御所は京都御所の南西に位置していた恭礼門院の住まいであり、後に賀陽宮家の邸宅としても利用されました。現在、この場所は京都御苑内の賀陽宮跡地の一部から相国寺に移築されています。富子の人生は、彼女自身だけでなく、いかに多くの人々の未来を形作ったかを示す重要な歴史の一部です。

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