一条房家

一条房家

一条房家（いちじょう ふさいえ）は、戦国時代の公卿で、土佐一条氏の初代当主です。関白・一条教房の次男として、文明7年（1475年）または文明9年（1477年）に生まれました。

生涯

父・教房が所領の土佐国幡多郡に下向したことで、房家は土佐に在国することになります。土佐一条氏は、公家としての高い官位を保持しつつ、土佐国最南端部の幡多郡と高岡郡を支配する「地域権力」として存在しました。「戦国公家大名」と呼ばれることもありますが、この概念は曖昧であり、一条氏が武家化した存在であったとしても、戦国大名とは言い難いという説もあります。

明応3年（1494年）に元服し、正五位下、左近衛少将に任官。房家自身も名門の権威を背景に、土佐の国人領主たちの盟主として勢力を拡大し、土佐一条氏の最盛期を築きました。本拠地の中村には、「小京都」と呼ばれるほどの街を建設。現在の四万十市にある東山や鴨川という地名は、房家が京都にちなんで名付けたと言われています。

永正5年（1508年）には、長宗我部兼序が本山氏によって滅ぼされると、その遺児・長宗我部国親を保護し、再興を支援しました。また、永正6年（1509年）には、三条西実隆と詩歌をやり取りするなど、文化人としての側面も持ち合わせていました。

天文8年（1539年）11月13日に薨去。享年は63歳または65歳。最終官位は前権大納言正二位でした。

官歴

明応3年（1494年）2月1日：正五位下（直叙）
永正3年（1506年）6月12日：左近衛中将。11月5日：従四位下
永正6年（1509年）正月26日：従四位上
永正7年（1510年）3月4日：従三位（越階）、中将如元
永正10年（1513年）7月18日：権中納言、中将如元
永正13年（1516年）12月20日：権大納言
永正14年（1517年）8月25日：勅授
永正15年（1518年）5月28日：辞権大納言
永正17年（1520年）5月20日：正三位
永正18年（1521年）5月14日：従二位
大永6年（1526年）正月23日：正二位
天文8年（1539年）11月13日：薨去

系譜

父：一条教房
母：中納言局（加久見宗孝の娘、町顕郷の養女）
正室：平松資冬の娘
嫡男：一条房冬（土佐一条家2代当主）
側室：源惟氏の娘
三男：一条房通（一条冬良の養子、一条本宗家11代当主）

房家は多くの子をもうけ、土佐一条氏の繁栄の礎を築きました。また、長女は西園寺公宣に嫁ぎ、次女は御庄冬顕に嫁ぐなど、婚姻政策を通じて勢力拡大を図りました。

房家は、公家としての教養と武将としての才覚を兼ね備え、土佐の地において独自の勢力を築き上げた人物として、歴史に名を残しています。

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