一条秀子

一条秀子：若くして亡くなった将軍の御簾中

一条秀子（いちじょう ひでこ）は、文政8年（1825年）に生まれ、嘉永3年（1850年）に26歳で亡くなった女性です。彼女は、後の江戸幕府13代将軍・徳川家定がまだ家祥と名乗っていた頃に、二人目の正室（御簾中）として迎えられました。関白一条忠良の十四女であり、初めは寿明姫（じゅみょうひめ）と名乗っていました。澄心院という院号も持っています。

将軍家への輿入れと短い生涯

嘉永元年（1848年）、家祥の最初の御簾中であった鷹司任子が亡くなった後、秀子は家祥と納采の儀を執り行いました。翌嘉永2年（1849年）11月22日に正式に結婚し、「御簾中様」と呼ばれるようになりました。しかし、結婚から半年余り後の嘉永3年（1850年）5月27日に病に倒れ、6月6日に26歳という若さでこの世を去りました。幕府は6月24日に彼女の死を発表しました。秀子は寛永寺に葬られ、従二位が追贈されています。戒名は澄心院殿珠現円照大姉です。

秀子の死因については、京都から江戸への輿入れの道中に負った足の火傷が原因となった後遺症とする説があります。短い結婚生活を送った秀子と相次いで先立たれた家祥は、後に将軍家定と名を改め、その3年後に薩摩藩から敬子（天璋院篤姫）を正室として迎えています。

容姿に関する噂と事実

秀子の容姿については、当時から様々な噂がありました。特に、彼女の身長が非常に低かったことは広く知られており、情報屋・藤岡屋由蔵が記録した『藤岡屋日記』には、彼女の身長が「三尺」（約1メートル）と記されています。また、両脚の長さが不均等であるという噂も、輿入れ前から流れていました。こうした噂をもとに、歌川国芳が足の不自由な女性を描いた錦絵「きたいなめい医 難病療治」も描かれています。

2007年から2008年にかけて寛永寺で行われた調査では、彼女の遺体から推定される身長は130センチでした。また、すねの骨や歯に極度の変形が見られ、成長期に罹った病気が原因であると考えられています。これらの調査結果は、秀子が実際に低身長であり、何らかの病気を患っていたことを示唆しています。



一条秀子は、若くして亡くなった将軍の正室として、その短い生涯と容姿に関する様々な噂によって、後世に語り継がれる存在となりました。

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