一畑電車7000系電車

概要

一畑電車7000系は、2016年より導入された両運転台構造の直流電車です。老朽化した既存車両の置き換えを目的として、当初は東急1000系電車の譲受を検討していましたが、必要数の確保が困難となったため、自社発注で新造することになりました。

本形式は、デハニ50形以来86年ぶりとなる自社発注の新造車両であり、90系以来となる20m級車両です。製造はノックダウン方式が採用され、構体と台車は近畿車輛、艤装以降はJR西日本テクノスの子会社である後藤工業が担当しました。

新造費用は1両あたり2億1000万円で、全額が国と沿線自治体の補助金で賄われました。JRの既存形式の車体と走行機器を組み合わせることで、コスト削減が図られています。2016年度と2017年度にそれぞれ2両ずつ、合計4両が導入されました。

車体

車体は、JR四国7000系電車をベースとした軽量ステンレス構造です。JR四国から設計情報の無償提供を受けています。2016年秋には、車体外装のラッピングデザインが公募で選定され、各車両に出雲大社、宍道湖、棚田、三瓶山をイメージしたデザインが採用されています。

側扉には半自動ドアボタンが設置されており、始発駅や途中駅での長時間停車時に使用されます。

車内

車内は、ハゼヤマ製の空気触媒「セルフィール」による抗菌・消臭・抗ウイルス処理が施されています。座席配置はJR四国7000系電車と同様にロングシートとクロスシートの点対称配置で、車体の大型化により座席定員は64人と在来車より大幅に増加しています。車内案内表示器は日本語と英語の2か国語に対応し、車内照明にはDoライト製の直管型LEDが採用されています。ドアチャイムは都営地下鉄と同様のものが使用されています。

無料公衆無線LANサービス（ドコモmopera回線）も提供されています。2018年3月からは、全車両に外装に合わせたデザインの装飾と「しまねっこ」オブジェが配置されています。

走行機器

走行機器は、基本的にJR西日本225系電車と同一のものが採用されており、一畑口寄りに電動台車、反対側に付随台車を配置する「0.5Mシステム」が採用されています。

主回路の制御装置（VVVFインバータ制御装置）と補助電源の制御装置（SIV）は、「車両制御装置」として一体化されており、東芝が製造しています。主回路部はIGBT素子による2レベル電圧形PWMインバータ1基で2基の電動機を制御する1C2M構成のVVVFインバータを搭載し、速度センサレスベクトル制御に対応します。補助電源部もIGBT素子を用いた2レベル電圧形PWMインバータを用いており、CVCF制御で三相交流440V/60Hzを出力し、定格容量75kVAを得ます。

主電動機は、1時間定格出力270kW/1,100V、定格回転数2,955rpm（許容5,830rpm）の自己通風式かご形三相誘導電動機を1両あたり2基搭載します。パンタグラフはシングルアーム式のものを松江しんじ湖温泉・電鉄出雲市側に1基搭載します。電動空気圧縮機（CP）はナブテスコ製のレシプロ式空気圧縮機を搭載します。

運用

第一号車のデハ7001は、2016年12月11日に出発式を行い、翌12日より営業運転を開始しました。残る3両も2017年中に順次導入されました。2017年4月現在、運用は固定されており、2017年10月14日にはデハ7003が運行を開始しました。2018年3月4日にはデハ7004も運行を開始し、計画していた4両の導入が完了しました。

平日は主に1両編成（一部2両編成）で全線の普通列車に運用されています。休日は2両編成で普通列車の他に、電鉄出雲市～出雲大社前間の特急、出雲大社前→松江しんじ湖温泉の急行「出雲大社号」にも運用されます。2018年3月末から7月までの期間、3両編成で平日朝の特急「スーパーライナー」にも運用されていました。

車歴

各車両の車歴については詳細な情報が確認できませんでした。

脚注

特筆すべき脚注はありません。

関連項目

• - JR四国7000系電車
• - JR西日本225系電車

もう一度検索