一致

一致（いっち）・呼応（こおう）について

一致、または呼応は、ある語や句が持つ形式的または意味的な特徴に従って、別の語の形式が変わる現象を指します。この現象は、照応や符合とも呼ばれ、語が他の語の文法的な範疇に応じて屈折することを示しています。具体的な例を挙げて、この概念を深く理解していきましょう。

一致の具体例

ロシア語を例にすると、名詞とそれに修飾する形容詞の間、さらには名詞句とそれを主語とする動詞間で性・数・格が一致します。たとえば、名詞「sovet」（忠告）は男性名詞で数は単数、格は対格を取ります。これに対し、修飾する形容詞「kakoj」（どんな）は、同じく男性・単数・対格の変化をします。同様に、「mama」（母）は女性名詞で、主格の「moja mama」（私の母）も女性・単数・主格の形になります。この構造によって、動詞「davala」（与えた）は常に女性・単数の形式を取ります。これらは一致の具体的な形を示しており、文法的整合性を保つ一助となります。

一致に関わる用語

一致現象を引き起こす要素のことを、コントローラーまたはトリガー、そしてコントローラーに一致する形式によって決まる要素をターゲットと呼びます。また、一致の起こる文脈を一致のドメイン、一致を生じさせる特徴は素性と呼ばれます。素性には値があり、例えばロシア語の性の素性には男性、女性、中性の3つの値があります。このように、素性は文法的な特徴を示し、言語の整合性を保つための重要な要素なのです。

典型的な一致の特徴

一般的に、コントローラーの素性の値は明確に表示されているため、典型的な一致は情報量が少なく、冗長性があります。英語の例を挙げると、「the book」や「the books」という名詞句は、単数と複数を明確に示しており、それに従って動詞も変化します。動詞は単に名詞句に基づいて形を変えることで、新しい情報を提供するのではなく、形式的な変化を通じて統一성을保っています。一方、コントローラーの素性があいまいな場合、例えば「the sheep」のように単複同形の名詞が主語の場合、動詞が「is」または「are」と変化することで、羊の数を示す情報を提供します。

一致の特徴の変化

また、一致の原則として、コントローラーの素性の値が不変であることが多いですが、例外もあります。たとえば、ロシア語の名詞「mama」は常に女性です。しかし、ブルガリア語のように、ある文脈では中性、別の文脈では男性として一致を示す場合も存在します。これにより、一致がどのようにダイナミックに働くかが理解できるでしょう。

日本語における一致

日本語では名詞句の格が格助詞で示されるため、名詞と修飾する形容詞の間での格の一致は存在しません。また、主語と動詞の間にも一致が見られません。しかし、名詞とそれを修飾する数詞の語尾（助数詞）の一致は確認できます。例えば「一本の棒」「一枚の紙」「一匹の犬」「ひとりの男」などが代表的です。このような特徴は多くの東アジアの言語にも共通しています。さらに、日本語特有の一致として係助詞と述語の活用形の一致がある「係り結び」と呼ばれる現象も存在します。

参考文献

• - Greville Corbett (2006). Agreement. ISBN 9780521001700
• - 亀井孝ら編『言語学大辞典：第6巻 術語編』（三省堂、1996年）710頁。 ISBN 4-385-15218-7
• - 斎藤純男ら編『明解言語学辞典』（三省堂、2015年）。ISBN 4385135789

関連項目

• - 押韻

このように、一致や呼応は言語の文法において重要な役割を果たしています。言語の構造や意味を把握する上で、これらの現象を理解することは必要不可欠です。

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