押韻

押韻（おういん）とは

押韻とは、同一または類似の韻を持つ語を、詩や歌の特定の箇所に配置する技法です。圧韻とも呼ばれ、心地よいリズムと美しい響きを生み出す効果があります。

中国[[文学]]においては、押韻を用いた文章を韻文と呼び、詩、詞、曲、賦などがその代表例です。この概念は、他の言語の文芸作品における押韻にも適用されます。

中国[[文学]]における押韻

中国[[文学]]における押韻では、韻と韻母は厳密には同じではありません。韻は、主母音、尾音、声調を含み、介音は含まれません。作品全体で押韻に用いる韻を変えないことを一韻到底といい、韻を変えることを換韻といいます。

中国[[文学]]における押韻法

近体詩の押韻

律詩では、第1・2・4・6・8句の句末で押韻し、絶句では第1・2・4句の句末で押韻するのが基本です。七言詩の場合、第1句は原則として押韻しますが、五言詩の場合は、押韻しないのが原則ですが、押韻されているものも存在します。

押韻に使われる韻

広く用いられた『切韻』では206韻の韻目が設けられましたが、地域差や時代差が考慮されておらず、分類が細かすぎたため、押韻には不便でした。そこで、金の官韻書では106韻に減らされ、これが平水韻として知られています。平水韻は唐詩の押韻を説明する上で重要な役割を果たし、後の時代の近体詩でも、この韻に従うことがルールとなりました。

西洋文学における押韻

西洋文学における押韻は、「rhyme」という言葉で表されます。この言葉には特別な意味と一般的な意味があり、特別な意味では、押韻する2つの語の最後の強勢のある母音以降の響きが完全に同じであることを指します。この厳密な押韻は完全韻と呼ばれます（例：sight/flight）。

完全韻の種類

男性韻 (masculine rhyme): 語の最後の音節に強勢がある場合 (例: rhyme, sub-lime)。
女性韻 (feminine rhyme): 語の最後から2つめの音節に強勢がある場合 (例: pick-y, trick-y)。
三重韻 (triple rhyme): 語の最後から3つめの音節に強勢がある場合 (例: ca-coph-o-nies)。

一般的な押韻の種類

一般的な意味での押韻は、語の間の様々な種類の音の類似性を指します。発音の類似性の程度や方法によって、以下のように分類されます。

音節韻 (syllabic rhyme): 語の最後の音節の響きが同じ (例: cleav-er, sil-ver)。
不完全韻 (imperfect rhyme): 強勢のある音節と、強勢のない音節の間での押韻 (例: wing, car-ing)。
半韻 (semirhyme): ある語に余分な音節が伴う押韻 (例: bend, end-ing)。
斜め韻 (oblique rhyme): 響きが不完全に一致している押韻 (例: green, fiend)。
類韻 (assonance): 母音が一致する (例: shake, hate)。
子音韻 (consonance): 子音が一致する (例: her, dark)。
半韻 (half rhyme): 最後の子音が一致する (例: bent, ant)。
頭韻 (alliteration): 語頭の子音が一致する (例: short, ship)。

さらに、同一韻（gun, be-gun）、語呂合わせの押韻（bare, bear）や、詩行全体が同じ響きを持つHolorime（For I scream, For ice cream）といった特殊な押韻も存在します。

視覚韻（eye rhyme）は、綴りは似ているものの発音が異なるもので、coughとboughなどが例として挙げられます。

韻文における押韻の位置による分類では、行末に置かれる脚韻（end rhyme）が最も一般的です。その他、行の中間に押韻を配置する中間韻（Internal rhyme）があります。

詩における押韻のパターンは、押韻構成（rhyme scheme）と呼ばれます。

日本の音楽における押韻

日本語の詩歌では、押韻は一般的ではありませんでしたが、近年の日本の音楽、特にヒップホップやレゲエにおいて、押韻が用いられるようになりました。ヒップホップでは通常ライミングと呼ばれます。

日本語のライミングでは、「幻想 - 喧騒 - 戦争 - 連想 - 変装 - 演奏」のように、二重韻、三重韻等の多重韻が用いられるのが一般的です。

関連項目

音韻論
音韻
平仄（ひょうそく）
韻脚
韻律

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