丁未約条

丁未約条（ていびやくじょう）は、1547年に朝鮮王朝と対馬の宗氏との間で締結された、来航者に関する取り締まり規則です。この条約の背景には、1544年に発生した「蛇梁倭変」があります。この事件は、対馬の宗氏が日本からの通交をめぐる取り決めである壬申約条の破棄を余儀なくされる結果となりました。その壌申約条は1512年に宗氏と朝鮮王朝の間で結ばれていましたが、全面的な通交制限が設けられ、多くの使用船の数が減らされるなど、宗氏にとっては厳しい環境を生んでいました。

壌申約条によれば、島主歳遣船、つまり対馬からの貿易船の数は50隻から25隻に削減され、さらに多くの名義の歳遣船の運航が禁止されることとなりました。これにより、宗氏は貿易を通じて成立していた経済基盤に深刻な影響を受けました。困難な状況を打破するため、宗氏は1547年に偽の日本国王使を派遣し、朝鮮王朝との交渉を試みました。その結果として生まれたのが、丁未約条です。

丁未約条では、壬申約条の規定以上に通交が厳しく制限されました。具体的には、島主歳遣船の数は再び25隻に制限され、これに加えて通交権のある者として認められていた50年前の受図書人や受職人の通交権も停止されました。さらに、入港可能な港は釜山浦と薺浦の二つから釜山浦の一港に制限され、加徳島以西に来泊する者は倭寇とみなされるという厳しい規定も設けられました。こうした制限は、壬申約条よりもさらに進んだものであり、宗氏にとっては生存が脅かされるほどの影響が及ぶものでした。

丁未約条の締結後も、宗氏は通交の制限を緩和するための交渉を熱心に繰り返しました。その結果、1557年にさらに改訂された丁巳約条が再び締結されることとなります。このように、丁未約条は、宗氏が朝鮮との関係性においてどれほど難しい状況に置かれていたかを示す重要な歴史的契機であることが理解できるでしょう。時代背景と繰り返される交渉の果てに、宗氏と朝鮮王朝との関係には厳しい制約がかかっていたことが際立っています。

詳しい情報については、関周一の『国史大辞典 9』を参照してください。この資料は丁未約条に関する優れた研究を提供しており、歴史的な背景や具体的な内容を知る上で非常に参考になります。

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