七時雨山

七時雨山（ななしぐれやま）

七時雨山は、岩手県の北西部に位置する標高1,063mの山であり、八幡平市にあります。その美しい景観と豊かな自然から、新日本百名山や東北百名山に選ばれています。

名前の由来と概要

七時雨山の名前は、一日のうちに天候が何度も変わることに由来すると言われています。七時雨山峰は、約110万～90万年前に活動した七時雨火山を構成する溶岩ドームです。七時雨火山の中心部には田代平カルデラ（田代平高原）が広がっており、田代山、毛無森、焼岳、西岳が外輪山を形成しています。七時雨山峰は、このカルデラが形成された後に成長しました。

七時雨火山はすでに活動を終えた死火山とされていますが、過去には鳴動の記録も残っています（1823年、1933年、1935年）。

山麓では古くから南部馬の産地として知られ、現在でも酪農が盛んです。また、水沢競馬場では七時雨賞というレースが設けられています。

中世の交通路

七時雨山の南面山腹には、流霞道（ながれかすみのみち）と呼ばれる古代の道が通っていました。この道は陸奥北部と出羽北部を結ぶ横断路として利用され、『三代実録』にも記述があります。流霞道は、ナガレカスミ道、ナガレシグレ道、リュウガドウなど、様々な読み方をされていました。

江戸時代には、七時雨山の西麓を鹿角街道が通っていました。鹿角街道は盛岡から花輪へと続く道で、尾去沢鉱山の輸送路としても利用され、盛岡とを結ぶ最短ルートとして重要な役割を果たしました。街道沿いの寺田は宿場町として栄えました。

1790年には、高山彦九郎が鹿角街道を通り、七時雨山を越えています。彼の『北行日記』には、当時の様子が詳細に記録されています。

登山

七時雨山には、南峰（1,063m）と北峰（1,060m）の2つのピークがあります。北峰には一等三角点があり、山頂からは田代平高原や岩手山などの素晴らしい景色を望むことができます。南峰には、岩手山と同じ石の獅子頭の権現様が祀られており、姫神山や八幡平の山々を遠望できます。

七時雨山には3つの登山口があります。田代平放牧場の田代平登山口は駐車場やトイレが整備されており、西の高清水登山口には鹿角街道七時雨一里塚があります。南の西根寺田登山口は、かつての鹿角街道の面影を残しています。どの登山口からでも日帰り登山が可能です。

田代山への登山

七時雨山の北側にある田代山（たしろやま）へは、七時雨山荘入り口からアクセスできます。安代側の道路脇にある登山口から、牧場の柵沿いに道が続いています。牧場を登り切ると作業道に出ますが、そこから細い道を山の方へ入ります。ジグザグの登山道を登ると、セスナ機遭難の碑がある場所に出ます。そこから尾根の鞍部までは約15分です。鞍部はパラグライダーの飛行地点にもなっており、ここから駒木立（987m）や田代山（945.4m）へ向かうことができます。さらに、三方沢山（さぶじゃやま）を経てサンさん道口まで縦走することも可能です。

田代平高原駐車場から登山口までは徒歩5分、サンさん道口までは徒歩20分程度です。

七時雨山は、豊かな自然と歴史が息づく魅力的な山です。登山やハイキングを通じて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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