七試艦上攻撃機

七試艦上攻撃機

七試艦上攻撃機（ななしかんじょうこうげきき）は、大日本帝国海軍が新しい艦上攻撃機を計画したもので、三菱航空機、中島飛行機、愛知時計電機航空機部の3社が試作を行いましたが、最終的にはどれも採用されることはありませんでした。

1. 概要

1932年4月、海軍は以前の八九式艦上攻撃機の性能が芳しくないことを受け、代替機の開発を始めることを決定しました。それに伴い、三菱と中島の2社に新型の三座艦攻の試作を指示し、さらに自発的に開発を行った愛知機を加えた3社が機体を製造しました。しかし、どの機体も大馬力エンジンの選定に苦労し、性能不足により不採用となりました。結果として並行して開発されていた一三式艦上攻撃機が、九二式艦上攻撃機として正式に採用されることになりました。

2. 三菱機

三菱が開発した機体は社内符号「3MT10」または「カ-5」と呼ばれ、松原元技師を主設計者として1932年10月に完成し、海軍に納入されました。しかし、この機体は海軍が求める性能を達成することができず、1934年2月に試験飛行中にエンジン故障が発生し、離陸直後に転覆大破する事故が起こりました。このため、三菱機も不採用となりました。機体設計には、八九式艦攻の実績を参考にした堅実な木金混合骨組みが取り入れられ、複葉機の形状を持ち、エンジンには大型機に用いるロールス・ロイス バザードを選択しましたが、これが性能低下を招く要因となりました。なお、主翼には57.0 m²と48.8 m²の2種類の面積がありました。

3. 中島機

中島航空機は吉田孝雄技師を設計主務者として2機を製造し、1933年から海軍による審査が始まりましたが、これもまた性能が要求に達しないという結果となり、不採用となりました。この機体は鋼管製の胴体に木製の骨組みを用いた羽布張りの複葉機で、エンジンには軽量の自社製「寿三型」が採用されていました。

4. 愛知機

愛知時計電機航空機部は社内名称「AB-8」で開発を進め、五明得一郎技師の主導のもと1932年9月に設計を完了し、翌年初頭には試作機が完成しました。しかし、こちらも必要な性能基準を満たすことができず不採用となりました。その後、試作機は愛知の実験機として利用されることになりました。愛知機も木金混合の骨組みに羽布張りの複葉機で、エンジンにはフランス製のロレーヌ クールリスが使用されましたが、国産のエンジンが適していなかったことも要因の一つです。

5. まとめ

結果的に、七試艦上攻撃機のプロジェクトは各社の試作機も含めて全て不採用となり、海軍が求めていた能力を持った艦上攻撃機の開発は一時的に停滞を余儀なくされました。この経過は後の九二式艦上攻撃機の開発に繋がり、さらなる技術革新が求められた時代を反映しています。各機体の試作は、それぞれの航空機開発技術の進歩や教訓を残し、次世代の機体に生かされることとなりました。

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