七録

『七録』は、中国南朝梁の時代、阮孝緒によって編纂された図書[[目録]]です。既存の宮廷蔵書目録とは異なり、阮孝緒が自ら各地の蔵書家を巡り、その蔵書を調査して作成された点が大きな特徴です。これは、個人の尽力によって作られた私的な図書[[目録]]として、当時の学問状況を知る上で貴重な資料となっています。

『七録』は、その構成から「内篇」と「外篇」に大別されます。「内篇」は、中国古典を網羅した6つの部から構成されています。具体的には、「経典録」「記伝録」「子兵録」「文集録」「術伎録」の5部と、さらに細分化された分類が含まれています。それぞれの部は、儒教経典、歴史書、諸子百家、文学作品、技術書など、多様なジャンルの書籍を収録していたと推測されます。

一方、「外篇」は「仏法録」と「仙道録」の2部からなり、仏教や道教関連の書籍を収めていました。これは、当時の中国社会において仏教と道教が隆盛を極めていたことを反映していると言えるでしょう。

『七録』は、後世の目録編纂にも大きな影響を与えました。特に、唐代の『隋書』「経籍志」は、『七録』を高く評価はしていませんでしたが、その記述の中には『七録』の情報が反映されていると推測されています。

残念ながら、『七録』自体は現存していません。散逸してしまったと考えられています。しかし、唐の僧侶・道宣が著した『広弘明集』巻3には、『七録』の序文と篇目が収録されており、その内容の一部を知ることができます。このことから、『七録』がどのような構成で、どのような書籍を収録していたのかを、ある程度推測することが可能です。

『隋書』「経籍志」は、『七録』を前漢の劉向父子による『七略』、南斉の王倹による『七志』と比較検討し、それらには及ばないと評価しています。しかし、その一方で『経籍志』の記述には『七録』の情報が散見されることから、『七録』が当時の図書[[目録]]編纂に一定の影響を与えていたことが分かります。

『七録』は、現存しないものの、後世の文献からその存在と内容の一部を知ることができる貴重な図書[[目録]]です。中国古代の学問や文化、そして図書[[目録]]学の歴史を研究する上で、重要な役割を果たす資料と言えるでしょう。阮孝緒の地道な調査活動と、その成果である『七録』の編纂は、後世の研究者たちにとって、大きな遺産となっています。

内藤湖南による1913年の講演「支那の書目に就いて」も、『七録』を含む中国の書目について論じた重要な資料です。この講演は、日本の図書[[目録]]学の発展にも貢献しました。

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