道宣

道宣（どうせん）

道宣（どうせん、拼音: dào xuān）は、中国唐代に活躍した律宗の僧侶であり、南山律宗の創始者です。彼は596年に誕生し、667年に没しました。その生涯を通じて、多くの著作を残し、後世に大きな影響を与えました。

生い立ちと修行の道

道宣は、俗姓を銭とし、浙江省の呉興郡に本拠を持ちます。彼の父、銭申は南朝陳の官吏でしたが、隋に捕らえられ、道宣は長安で生まれました。道宣は若い頃から仏教に興味を持ち、16歳で日厳寺にて出家しました。そこで智頵律師に師事し、信仰と戒律に関する学びを深めました。

彼の人生の重要な時期は、大業年間に始まります。20歳の時、彼は大禅定寺で具足戒を受け、そこからさらに修行のために各地を巡ります。最終的には終南山の浄業寺に住むようになり、ここで教義の普及と書籍の執筆に没頭します。また、彼は律宗の異なる解釈を研究するため再度の遊方にも出ることになります。635年には、法礪のもとで学び、律宗の心得を深めていきました。

南山律宗の創立

道宣のための重要な転機は、貞観16年に彼が南山へ戻ったことです。その後、604年に玄奘が帰国した際、彼は長安の弘福寺に招かれます。652年に高宗の命を受けて西明寺が創立された際には、道宣がその上座に迎えられました。西明寺で彼は『四分律』の注釈を執筆し、律宗の研究をさらに推し進めました。この結果、彼は南山律師として広く知られることになります。

道宣は667年に亡くなりますが、彼の教えを受け継いだ弟子たちは千人に及び、南山宗はその後も繁栄を誇りました。特に、彼の教えは現在の中国の僧侶たちにも根強く受け継がれています。

著作と貢献

道宣の著作は多岐にわたり、大きく分けると律に関するもの、仏教史に関するもの、経典目録、さらにはその他の分野に分類されます。特に律に関する著作には、『四分律刪繁補闕行事鈔』や『四分律比丘含注戒本疏』が含まれ、これらは南山宗の五大部とも称されます。また、彼の仏教史に関する作品としては、『続高僧伝』や『広弘明集』などが名高いものです。

逸話と評価

道宣にまつわる逸話として最も有名なのは、高宗が僧侶に皇帝に跪拝することを命じた際、道宣がこれに抗議し、最終的にその命令を撤回させた話です。このエピソードは、道宣の信念と宗教的な誇りを示すものであり、彼の人格と影響力を際立たせています。

唐の懿宗によって、彼は咸通10年に澄照大師号を追贈され、今日に至るまで彼の教えと影響は多くの僧侶たちに色濃く残っています。道宣の生涯は、仏教の歴史において重要な一章を成し、彼の業績は未だに多くの人々に評価されています。

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