万喜城

万喜城の歴史と構造

千葉県いすみ市万木にかつて存在した万喜城は、日本の戦国時代に重要な役割を果たした山城です。この城は、いすみ市内の夷隅川に沿った崖に位置し、東西約500メートル、南北約800メートルの規模を誇ります。特に、主郭は東西に40から80メートル、南北に190メートルの範囲を持ち、城は主郭を含む3つの郭からなっています。

築城の背景

伝説によれば、万喜城は応永年間に摂津国から移り住んだ土岐時政によって築かれたとされています。ただし、上総土岐氏の系譜には多くの不明な点が残されており、実際の築城年月や築城者についての詳細はわかっていません。明応年間の頃には土岐頼元がこの地域で活動をしていたと言われており、彼は後に上総土岐氏の菩提寺となる海雄寺を設立した人物として知られています。このような歴史的背景を持つ万喜城ですが、後には多くの戦乱にも見舞われました。

戦国時代の動向

万喜城は、土岐為頼の時代から具体的な活動が記録に残ります。為頼は里見義堯と婚姻を結んでいましたが、第二次国府台合戦で里見氏が敗北したのをきっかけに、後北条氏と結びつき、北条方として活動しました。そのため、万喜城はしばしば里見氏や上総武田氏からの攻撃を受けることとなります。

特に土岐頼春の時代、天正16年から18年にかけては里見氏による3度の攻撃がありましたが、いずれも土岐氏は勝利を収め、この地域の防衛に成功しました。しかし、天正18年には豊臣秀吉による小田原征伐があり、北条氏に味方したことが災いし、本多忠勝率いる徳川軍に攻略されます。この際、米蔵跡と考えられる場所からは焼き米が出土していることから、城の陥落時の状況が伺えます。

万喜城の廃城

小田原征伐の結果、土岐氏は滅亡し、万喜城も廃城となったと長い間考えられてきました。しかし近年の研究により、本多忠勝が大多喜城に入る前の時期に万喜城を一時的に居城として使用していたことを示す文書が発見されています。実際の廃城は、忠勝が大多喜城を居城としていることが確認される天正19年、つまり1591年頃であったと考えられています。このことから、万喜城は長らく城の役割を果たしていたことが明らかになりつつあります。

アクセス

万喜城へのアクセスは、いすみ鉄道のいすみ線を利用し、国吉駅から徒歩41分ほどの距離です。一度訪れてみると、城の歴史とその地形に囲まれた美しい自然に触れることができるでしょう。

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