万貴妃

万皇貴妃（ばんこうきひ、1428年 - 1487年）は、明の第9代皇帝である成化帝の寵妃として知られています。

生涯

万皇貴妃の本名は万貞児といい、4歳で宮中に入りました。当初は、宣徳帝（成化帝の祖父）の皇后であった孫氏の宮女として仕え、その後、皇太子時代の朱見深（後の成化帝）の侍女を務めることになります。土木の変によって朱見深の父である英宗正統帝が捕らえられ、叔父の景泰帝が即位すると、朱見深は一時的に皇太子の地位を失います。しかし、万氏は廃太子となった朱見深に献身的に仕え、彼の心の支えとなりました。万氏は朱見深よりも20歳近く年上でしたが、彼は万氏を深く愛しました。

成化帝が即位すると、万氏はその寵愛を受けて貴妃となり、後に皇貴妃に昇進しました。万氏は宝石に並々ならぬ執着を示し、宦官の汪直や梁芳らと結託して、宝石を得るために賄賂を横行させたと言われています。成化2年（1466年）には成化帝との間に長男を授かりますが、翌年には夭逝してしまいます。当時、万貴妃は既に40歳であり、その後二度と妊娠することはありませんでした。子を失った彼女は嫉妬に狂い、他の妃が妊娠すると手下の宦官を使って堕胎させるなど、その悪行が記録されています。

成化5年（1469年）に柏賢妃が産んだ次男の朱祐極が皇太子に立てられますが、彼もまた成化8年（1472年）に夭折しました。成化帝は壮年期に達していましたが、子を失い、後継者不在の危機に瀕します。しかし、宦官によって密かに難を逃れていた三男の朱祐樘（後の弘治帝）がおり、1475年にその存在が明らかになります。朱祐樘の生母である紀淑妃は、ほどなく急死し、万貴妃による毒殺の噂が立ちました。万貴妃は朱祐樘も暗殺しようとしましたが、皇太后周氏（成化帝の生母）の保護によって失敗に終わりました。

万氏は1487年に心筋梗塞で亡くなりました。享年59歳。恭粛端慎栄靖と諡され、天寿山に葬られました（北京天寿山頂万娘娘墓）。万氏の死は成化帝に大きな衝撃を与え、彼は悲しみのあまり発病し、同年に亡くなっています。その後、万氏の家族を誅殺するよう弘治帝に進言する者がいましたが、弘治帝は「子無追廃母理」（子が母を責めることはない）として退けています。

子女

皇長子（1466年 - 1467年）

参考文献

『明史』
『明憲宗実録』

登場作品

テレビドラマ

『王の後宮』（2011年、中国、演：タビア・ヨン）
* 『成化十四年〜都に咲く秘密〜』（2020年、中国、演：アリッサ・チア）

もう一度検索