三同盟

三同盟：スイス・グラウビュンデン州の礎

三同盟は、1471年にゴッテスハウス同盟、灰色同盟、十裁判区同盟の三つの同盟が結成した同盟で、現在のスイス・グラウビュンデン州の基礎となりました。この地域は、ローマ帝国時代のラエティア・プリマ管区に由来し、中世初期にはクール司教の管理下にあるラエティア・クリエンシスの中核地域を形成していました。

三同盟の構成

ゴッテスハウス同盟

1367年1月29日、ゴッテスハウス同盟がクール司教とハプスブルク家の勢力に対抗するために設立されました。クール司教ピーター・ゲリト・フォン・ベーメンは、ハプスブルク家からの年俸と引き換えに司教領を譲渡しようとしました。これに対抗し、聖堂参事会の特使、司教の家臣、そしてクール市と周辺地域の代表が同盟を結びました。

都はクールに置かれ、クール、ベルゲル、カルヴェン、ドムレシュク、グライフェンシュタイン、オーバーエンガディン、オーバーハルブシュタイン、ポスキアーヴォなど様々な地域で構成されていました。

灰色同盟

1395年、上ライン渓谷で灰色同盟が結成されました。これは、地域内の対立や紛争に対する自衛策として設立されました。同盟の名前は、構成員が着用していた灰色の手織り服に由来し、ドイツ語の「グラウエ・ブント」がグラウビュンデン州の語源となっています。

1424年3月16日にトゥルンで正式に設立された灰色同盟は、ディゼンティス修道院長、レチュンス男爵領、サックス家領、ヴェルデンベルク伯領などを含み、都はイランツに置かれました。

十裁判区同盟

1436年6月8日、トッゲンブルク家の断絶を機に、旧トッゲンブルク伯領の10の裁判区の指導者によって十裁判区同盟が設立されました。この同盟は、ハプスブルク家の拡大に対抗することを主な目的としていました。

都はダボスに置かれ、ベルフォール、ダボス、クロスタース、カステルなどによって構成されていました。

三同盟の連携と発展

当初、三つの同盟は非公式に協力していましたが、1461年からは公式的な合同会議が開かれるようになりました。1471年にはより緊密な連携が確立され、「三同盟」としての歴史が始まったとされています。1496年にハプスブルク家がトッゲンブルク伯爵家の領地を継承すると、三同盟はスイス盟約者団と連合し、シュヴァーベン戦争ではスイス側として戦いました。ハプスブルク家は敗北し、スイスとの連合を承認せざるを得ませんでした。

1499年以降、三同盟は事実上神聖ローマ帝国から分離し、16世紀には独自の政治組織へと発展しました。1524年9月23日には「永久盟約」が憲法として制定され、1799年にナポレオンによって解散されるまで維持されました。自由国における最高権力は連邦議会にありましたが、重要な問題は国民投票によって決定されていました。

1524年と1526年のイランツ条項はクール司教の権力を制限し、三つの同盟間の結束を強化しました。

三同盟の終焉とグラウビュンデン州の成立

フランス革命軍によるスイス侵攻により、三同盟はラエティア行政区としてヘルヴェティア共和国に併合されました。その後、ナポレオンの調停法により、1803年にグラウビュンデン州としてスイス連邦に組み込まれました。現在までグラウビュンデン州として、スイスの一員となっています。

かつて三同盟の属州であったキアヴェンナ、ヴァルテッリーナ、ボルミオは、フランス革命の影響でチザルピーナ共和国に併合され、その後イタリアの一部となりました。カンピョーネもルガーノから分離し、現在のイタリア領飛び地であるカンピョーネ・ディターリアとなりました。

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