三国協商

三国協商について

三国協商（さんごくきょうしょう）は、経済・政治的な協調関係を築いたイギリス帝国、フランス、およびロシア帝国の三国が結んだ外交上の同盟を指します。この協商は19世紀末から20世紀初頭にかけて形成され、主に露仏同盟、英露協商、英仏協商を通じて成立しました。この枠組みは、当時のドイツを中心とする独墺伊同盟に対抗するものであり、第一次世界大戦における主要な交戦国としての役割を果たしました。

事前の経緯

三国協商の成立には多くの歴史的背景が影響しています。当時の国際情勢は、ドイツの政治家ビスマルクによって形作られたビスマルク体制により、平和の時代が続いていました。この体制下ではフランスは国際社会において孤立し、ヨーロッパは一時的に戦争のない状況にありました。しかし、ビスマルクが退陣すると、ドイツは彼の構築した同盟政策とは異なる方向に進もうとし、オーストリア＝ハンガリー帝国やイタリアと接近するようになりました。この変化により、フランスはさらなる孤立を余儀なくされ、ロシアとの連携を模索するようになりました。

三国協商の成立

ロシアはフランスに接近し、1891年から1894年にかけて交渉を重ねました。1891年には政治的な協定、続いて1894年には軍事的な協定が結ばれ、これが露仏同盟となりました。この時期、ドイツは西アジアへの進出を目論み、イギリスとの間に競争が激化しました。イギリスは長い間「栄光ある孤立」という外交政策を維持していましたが、ロシアとドイツに挟まれた結果、孤立を解消しようとしました。これにより、1902年に日本と日英同盟を結び、1904年にはフランスと英仏協商を締結、さらに1907年には英露協商を結ぶことになりました。

これらの協定から形成された三国協商は、特に露仏同盟が軍事協定を含んでいたため、一国が紛争に巻き込まれた場合、他国も自動的に参戦するという規定がありました。一方で、英仏協商や英露協商にはそのような条件はなく、外交的支援や共同での脅威への対処という形での協力関係でした。結局、三国協商の成立は、ドイツからの脅威に対するフランスの外交方針の大きな変化をもたらしました。

結果と影響

三国協商は第一次世界大戦における連合国勢力として、ドイツやオーストリアと対立する構図を作り出しました。最初はイタリアも三国同盟に属していましたが、1902年にフランスと仏伊協商を結ぶこととなり、早期に離脱しました。オーストリアも内部の民族闘争の激化により機能を失い、実質的に三国協商とドイツの対立の構図になっていたのです。

一方で、バルカン半島での緊張が高まる中で三国協商の重要性は増していきました。第一次世界大戦においては、連合国としてドイツやオーストリアと戦いましたが、戦争の最中にロシア革命が発生し、新たに成立したソビエト連邦はドイツと単独で講和しました。このことにより、三国協商は事実上消滅しました。

このように、三国協商は当時の国際関係において重要な役割を果たした同盟であり、第一次世界大戦の進展に大きな影響を与えました。

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