三国川ダム

三国川ダムの概要

三国川ダム（さぐりがわダム）は、新潟県南魚沼市に位置し、信濃川水系三国川に建設されているロックフィルダムです。その高さは119.5メートルで、洪水調節、不特定利水、上水道、さらには水力発電を目的とした多目的ダムとして国土交通省によって管理されています。また、ダム湖の名は「しゃくなげ湖」と呼ばれ、美しい自然景観が楽しめます。

歴史的背景

魚野川流域は日本有数の豪雪地域であり、豊富な水量が特徴です。この地域の急峻な地形と豊富な水資源は、水力発電の発展を促進してきました。過去には、黒又川第一ダムや黒又川第二ダムといった大規模な発電ダムが次々と建設され、電源開発の中心地となりました。しかし、洪水のリスクも高く、古くから様々な水害が悩まされてきました。特に1969年8月には、信濃川流域を襲った豪雨により、魚野川流域や高瀬川流域で甚大な被害が発生しました。

このため、建設省（現在の国土交通省）は1974年に「信濃川水系工事実施基本計画」を改訂し、公共の安全と利水のため、ダム建設に着手することになりました。三国川を利用した特定多目的ダムの設計が進められ、1975年に事業が開始されました。18年の歳月を経て、1992年に三国川ダムは完成し、魚野川流域では最大の規模を誇るダムとなりました。その後、他の地点にも多目的ダムの建設が進み、破間川ダムや広神ダムも建設されました。

ダム建設の年表

• - 1969年 (昭和44年): 新潟県で予備調査を実施
• - 1975年 (昭和50年): ダム実施調査に着手
• - 1977年 (昭和52年): ロックフィルダムの形式を決定
• - 1980年 (昭和55年): 一号仮排水トンネルの工事開始
• - 1981年 (昭和56年): ダム本体の建設工事を着手
• - 1987年 (昭和62年): ダム堤の盛立てが開始
• - 1990年 (平成2年): ダム堤体の盛立て完成、非常用洪水吐完成
• - 1991年 (平成3年): 湛水を開始
• - 1992年 (平成4年): ダムが竣工

周辺環境と観光

三国川ダム周辺は「地域に開かれたダム」として、地元住民にも広く利用されています。オートキャンプ場やテニスコート、釣り堀が整備され、訪れる人々が自然の中でレクリエーションを楽しめる場が提供されています。また、ダム直下には露天風呂もあり、入浴料金はわずか100円ととても手ごろです。ダム湖周辺はシャクナゲの自生地でもあり、その美しい風景からダム湖は「しゃくなげ湖」と名付けられました。

周囲には名勝・十字峡などの観光地も点在し、冬には湯沢町のスキー場がシーズンの観光客を集めます。交通面でも、関越自動車道や上越新幹線が近くにあり、アクセスも簡便です。

文化的な側面

三国川ダムは、文化的にも注目されています。漫画『ダムマンガ』や、2000年に公開された映画『ホワイトアウト』では、ダム周辺でロケーション撮影が行われたことも知られています。これらの作品により、ダムの認知度は高まり、観光名所としての地位も確立しています。

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