三國志IV

『三國志IV』は、1994年に光栄（現コーエーテクモゲームス）から発売された歴史シミュレーションゲームで、同社の人気シリーズ『三國志』の第4作にあたります。プレイヤーは三国時代の群雄の一人となり、古代中国の主要都市の完全制覇を目指します。

ゲーム概要

前作『三國志III』をベースにしつつ、より遊びやすく進化しています。内政や情報収集のコマンドが簡略化され、ゲームの複雑さが緩和されました。一方で、武将一人一人に特殊技能が付与され、能力値以外の個性も重視されるようになっています。有力な武将は複数の特殊技能を持ち、戦略に多様性をもたらします。

身分によるコマンド制限は廃止されましたが、特殊技能によって実行できるコマンドに制限が設けられ、武将の個性が際立つようになりました。また、陸戦と海戦の区別がなくなり、歩兵や弓兵など兵科ごとの特性が戦闘に影響を与えるようになっています。辺境の地には異民族が登場し、都市を攻撃してくるなど、突発的なイベントも用意されています。操作はマウスのみで行うことが前提となっています。

戦闘は野戦と攻城戦の2種類があり、守備側が選択できます。野戦では、攻め込む方向に関わらず、同じマップが使用されることが多いです。また、特殊なマップとして「古戦場」が登場します。攻城戦では、城壁に梯子をかけてよじ登るか、城門を破壊して城内に突入するかの2つの勝利条件があります。戦闘が長引くと、兵糧切れを除き、守備側は時間切れで勝利することはできず、武力か交渉で敵を撃退する必要があります。また、東シナ海を舟で渡って沿岸都市に侵攻することはできず、あくまで中国大陸のみで陸戦のみが行われます。

戦闘画面では、最大3人の武将で構成される1ユニットが戦います。前作では指揮官の能力値のみが重視されましたが、本作では指揮官の兵科特性や特殊技能、副将の有無なども戦闘結果に大きく影響するようになりました。また、一騎討ちが発生しやすくなり、技術力を高めれば、発石車などの攻城兵器も使用できます。敵軍の敗走時には追撃が可能で、敵の残存兵力を減らすことができます。

武将数は前作より減少しましたが、初期武将が削られた代わりに、三国鼎立後の時代に活躍する武将が増加し、三国時代後半のシナリオでも武将不足に陥りにくくなっています。都市ごとに必ず武将を配置する必要があり、武将不足になるとゲームオーバーになる可能性があります。歴史イベントも前作より多く追加されています。本作では董卓の台頭以降のシナリオのみが収録されており、黄巾の乱については次回作で登場します。

本作からは、新シナリオや追加イベントを含むパワーアップキット版も発売されました。

身分制度

武将の身分は、君主、太守、軍師、侍中、将軍、一般の6つに分けられます。前作の文官と武官は、本作では一般に該当します。役職者は一般よりも俸給が高いため、昇進させると忠誠度が上昇しますが、降格させると忠誠度が低下します。

太守: 都市の長。役職者以外に任じても、委任状態とはなりません。
軍師: 軍事面で助言を行う。知力90以上かつ政治80以上の武将が任命できます。複数任命できますが、能力が最も高い者が助言をします。担当軍師がいる場合は、その武将が助言を行います。野戦で守備側として出陣すると、落とし穴や柴草を仕掛けることができます。
侍中: 内政面で助言を行う。政治85以上の武将が任命できます。複数任命できますが、軍師と同様です。
将軍: 統率と武力の合計が150以上の武将が任命できます。戦場での攻撃力が上がり、傷病からの回復が早くなります。

前作では、軍師の知力がそのまま助言の的中率に影響しましたが、本作ではコマンド成功率が一定レベル以下でなければ、肯定的な助言をするように設定されています。知力の高低は助言の正確さには影響しません。また、成功率が一定水準に近い場合は、「わからない」と返答したり、どっちつかずな表現をしたりすることがあります。

特殊能力

武将の個性を際立たせるための特殊能力が、民政、計略、軍事の3つのカテゴリに24種類用意されています。最も多く特殊能力を持つのは諸葛亮で21種類、最も少ないのは夏侯楙で0種類です。君主は、特殊能力の所持に関わらず、特殊能力を必要とするコマンドを実行できます。

以下に、代表的な特殊能力をいくつか紹介します。

外交: 外交を行う能力。政治力や魅力の高い武将が所持していることが多いです。
情報: 他国に潜入して情報を入手する能力。情報がない都市への計略は成功率が低下します。
人材: 人材の捜索や登用を行う能力。勢力拡大に不可欠です。捜索では、武将の代わりにアイテムを発見することもあります（偽物の場合もあります）。
製造: 兵器を製造する能力。連弩、衝車、発石車は製造でのみ入手可能です。
埋伏: 計略「埋伏の毒」を行う能力。忠誠度の高い味方武将を敵都市に潜伏させます。成功すると定期的に情報を送り、戦争時に兵力ごと寝返らせることができます。強力な能力でしたが、パワーアップキットで成功率が低下し、次回作以降では実装されませんでした。
作敵: 計略「敵中作敵」を行う能力。成功すると、戦争時に敵将が寝返ることがあります。ただし、対象武将が寝返りを拒否する場合もあります。また、成功しても3ヶ月以内に戦争をしなければ無効になります。
駆虎: 計略「駆虎呑狼」を行う能力。成功すると、敵の太守が君主を裏切って独立することがあります。太守が罷免されていた場合は内紛を起こします。
流言: 計略「流言飛語」を行う能力。敵将や敵都市の民衆の忠誠度や商業を低下させます。対象が誰になるかは予測できません。
焼討: 計略「焼討」を行う能力。敵都市の兵器や兵糧を減らします（両方減らすことも可能です）。連弩や発石車は焼却できません。
諜報: 計略「諜報」を行う能力。他都市のデータが自都市より高い場合、自都市のデータを上昇させます。ただし、上昇できる数値には上限があります。

他にも、各兵科の部隊を率いる能力や、戦場で使える特殊なコマンドなど、様々な特殊能力が存在します。これらの能力は、経験を積むか、旅人を訪問することで習得できます。どの能力が増えるかは訪問するまでわかりません。

部隊編成

従来作では1部隊に武将1人でしたが、本作では最大3人で構成できるようになりました。部隊は大将1人に副将が2人つき、攻撃力は各武将の統率力で決まります。武力は一騎討ちの際にのみ影響します。部隊の知力は、3人の中で最も高い数値が適用されます。これにより、知力が低い武将でも、知将を副将にすることで弱点を補えるようになりました。

シナリオ

シナリオは、前作では開始年1月からのスタートでしたが、本作では開始月まで設定され、より詳細に各時代の状況が再現されています。以下にシナリオの例を挙げます。

189年12月「董卓少帝を廃し、洛陽炎上す」
194年11月「群雄、中原に争い、曹操、台頭す」
201年10月「河北に嵐起き、荊州に春きたる」
208年09月「臥龍孔明、赤壁に東風と舞う」
221年04月「後漢滅び、三國の時代、始まる」
235年02月「姜維に後事を託し、巨星墜つ」

パワーアップキット版では、上記のシナリオに加え、いくつかの仮想シナリオが追加されています。

旅人

ゲーム中には、各地を旅する8人の名士が登場します。彼らは通常、君主のいる都市にやってきて、情報を提供してくれます。逆に、君主が彼らを訪問すると、アイテムをくれたり、特殊能力を授けてくれます。また、ニセアイテムや埋伏している武将を見抜いて教えてくれることもあります。ただし、同じ都市に旅人が複数いても、1ヶ月に会えるのは1人だけです。

代表的な旅人として、于吉や華佗、管輅、許子将、左慈、司馬徽、馬鈞、普浄などがいます。

その他

パソコン版とコンシューマー版では、関羽と諸葛亮の顔グラフィックが異なります。また、スーパー32X版の曹豹は、一騎打ち時に内部で武力が超補正されており、非常に強力です。

評価

各ゲーム雑誌のクロスレビューや読者投票による評価では、機種によって評価が異なり、スーパーファミコン版は比較的低く、セガサターン版やスーパー32X版は高い評価を得ています。PlayStation版も比較的高評価を得ています。

『三國志IV』は、シリーズの中でも特に人気の高い作品の一つであり、そのゲームバランスや戦略性の高さは、今なお多くのファンに愛されています。

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