三村元親

三村元親とは

三村元親（みむら もとちか）は、生年不詳ながら、安土桃山時代に活躍した武将です。備中松山城の城主として、その名を歴史に刻みました。天正3年（1575年）に波乱の生涯を閉じました。

父の死と家督相続

元親の父である三村家親は、毛利氏の支援を受け、備中国を中心に勢力を拡大していました。しかし、宇喜多直家の策略により、永禄9年（1566年）に暗殺されてしまいます。この父の死を受け、長兄が他家の養子となっていたため、次男である元親が三村氏の家督を継承することになります。

宇喜多氏との抗争

家督を継いだ元親は、父の仇である宇喜多氏への復讐を誓います。永禄10年（1567年）には、2万もの兵を率いて備前に侵攻しますが、宇喜多勢に大敗を喫します（明善寺合戦）。この敗戦をきっかけに、三村氏の勢力は一時的に衰退しますが、毛利氏の支援によって持ち直します。

その後も、宇喜多氏との抗争は続きます。永禄12年（1569年）には、宇喜多氏に寝返った植木秀長を討伐するため、毛利氏の援軍と共に進軍しますが、戸川秀安に敗北し、元親自身も負傷します。元亀元年（1570年）には、尼子再興軍や、松山城の庄氏一族らが挙兵し、三村氏は危機に陥りますが、元亀2年（1571年）には庄高資を討ち取り、松山城などを奪還します。しかし、同年9月には佐井田城を攻めるも敗北、兄の庄元祐を失うなど、苦戦を強いられました。

毛利氏からの離反

天正2年（1574年）、毛利氏が宿敵である宇喜多直家と同盟を結んだことに激怒した元親は、叔父や一部重臣の反対を押し切り、織田信長と通じ、毛利氏から離反します。さらに、宇喜多氏と敵対する浦上宗景や三浦貞広とも同盟を結びました。

この元親の離反は、毛利家にとって重大な問題となり、討伐軍が編成されました。三村氏は、佐井田城を攻略され、備中兵乱の火蓋が切って落とされました。

最期

毛利軍は、元親が籠る備中松山城を直接攻撃せず、周辺の支城を次々と攻略していきます。天正3年（1575年）には、杠城が陥落し、元親の弟である三村元範が自害。その後も支城は次々と陥落し、松山城は孤立無援の状態となります。ついに5月22日、松山城は陥落し、元親は妻子・家臣と共に逃亡を図ります。

しかし、覚悟を決めた元親は、毛利軍に使いを出し、検使のもとでの切腹を願い出ます。毛利氏はこれを受け入れ、元親は旧知の粟屋元方が見守る中、辞世の句を残し、松連寺で自刃しました。

その辞世の句の一つに「人といふ 名をかる程や 末の露 きえてぞかへる もとの雫に」という歌があります。この歌は、嘉永2年(1849年)に編纂された続英雄百首にも取り上げられており、江戸時代には元親が知られた存在であったことが伺えます。

元親は、詩歌にも精通する教養人であり、細川藤孝とも親交がありました。藤孝は松山城篭城中の元親に『八雲集』を贈ったと伝えられています。

元親の死後、子の勝法師丸も殺害され、戦国大名としての三村氏は滅亡しました。元親の叔父である三村親成ら傍流が他家の家臣として残るのみとなりました。

元親の墓は、岡山県高梁市内の源樹寺や頼久寺などに存在しています。

まとめ

三村元親は、激動の戦国時代を生き抜いた武将であり、その生涯は、父の仇討ち、宇喜多氏との抗争、毛利氏からの離反と、波乱に満ちたものでした。また、武将としてだけでなく、詩歌を愛でる教養人としての側面も持ち合わせていました。その最期は、武士としての誇りを貫いたものであり、後世に語り継がれています。

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