戸川秀安

戸川秀安（とがわひでやす）

戸川秀安は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、宇喜多氏の家臣として活躍しました。通称は平助、平右衛門尉、肥後守。諱ははじめ正利と称し、後に豊臣秀吉から一字拝領して秀安と改めました。正室は鷹取備中守の妹で、子に戸川達安、戸川正安、戸川勝安、坂崎直盛室がいます。

出自

戸川秀安の出自については、以下の二つの説が有力です。

門田氏説: 『戸川家系譜』に記載されている説で、父は備後国の国人である門田某とされています。父の死後、母と共に美作国へ移り、姉婿である富川禅門の許に身を寄せました。その後、母が備前福岡に逃れていた宇喜多興家の子（忠家ら）の乳母として奉公したことから、秀安も宇喜多直家に仕えるようになったとされます。

宇喜多能家妾腹説: 『寛政重修諸家譜』に記載されている説で、父は宇喜多能家の妾腹の子である定安とされています。定安は家臣の富川正実の養子となり、能家が島村盛実らに襲撃された際に、美作国にいた正実の兄である富川禅門の元に逃れました。その後、母が宇喜多興家の子の乳母として奉公したことから、秀安も宇喜多直家に仕えるようになったとされます。

生涯

天文7年（1538年）に生まれた秀安は、母が宇喜多直家の弟（忠家・春家）の乳母であった関係から、天文14年（1545年）頃より小姓として直家に仕え始めました。永禄9年（1566年）には、三村家親の弔い合戦と称して三村五郎兵衛が備前に攻め入った際、宇喜多忠家らと共に迎え討ちました。その後も三村氏や毛利氏との戦いにたびたび出陣し、武功を重ねました。

元亀元年（1570年）、直家が謀略によって金光宗高を切腹させた後、石山城（岡山城）の接収を馬場職家とともに執り行いました。天正3年（1575年）には常山城主となり、2万5千石を領して宇喜多氏随一の有力家臣となりました。

天正4年（1576年）7月13日の第一次木津川口の戦いでは、宇喜多水軍を率いて石山本願寺に兵糧を運び込む毛利方として参戦しました。戦後には、毛利軍の武将たちと共に木津川口の戦いについて報告を行っています。

岡家利や長船貞親と並び、宇喜多三老の一人として重きをなしましたが、直家からの信任は三老の中でも最も厚かったとされています。直家の晩年頃から宇喜多氏の国政を任されるようになり、直家の死後は家督を嫡男の戸川達安に譲って隠居し、友林と号しました。

慶長2年（1597年）9月6日に死去。享年60。墓所は岡山県玉野市宇藤木の常山麓にある友林堂にあり、法名は「自任斎枋授友林居士」です。

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