三松正夫

三松正夫の生涯と業績

三松正夫（みまつ まさお）は1888年7月9日、北海道伊達町に生まれました。彼は北海中学を中退し、その後有珠郡の壮瞥町で郵便局に勤務、最終的には壮瞥郵便局長となりました。郵便局長としての彼の経歴は、昭和新山の成長を見守る特異な立場において重要な役割を果たしました。

青年期からの火山への興味

1910年、有珠山で起こった噴火は、彼にとって特別な経験となりました。この噴火によって新たな側火山が誕生し、三松はこの現象を間近に観察することとなりました。その際、地元住民が避難を余儀なくされた中、その通信業務を担うことになった彼は、混乱した状況にも関わらず、自らの業務を優先し続けました。社員としての責任感から、彼は避難許可が出るまで勤務し続け、夜を徹して業務にあたりました。

彼は当時、空に現れたハレー彗星に不吉さを感じつつ火山活動を観察しました。この経験は彼の火山学に対する情熱を高める契機となりました。

天然温泉の発見

1917年、三松は、友人たちと共に西丸山山麓の洞爺湖畔で熱湯が湧き出している場所を発見しました。彼らは温かい湯を集め、温度計で測定したところ、その源は43度を記録。この発見は後に温泉として利用され、道庁に申請を行いました。これが現在の温泉旅館「竜湖館」の基礎となります。

昭和新山の観察

1943年12月末、有珠山の麓にて意図しない形で昭和新山が隆起し始め、これに対して三松は独自の手法で観察を行いました。彼は毎日の地震回数を豆で記録し、視点を固定するために台に顎を乗せ、糸を使って日々の変化を測定しました。これにより得られた記録は「ミマツダイヤグラム」として名づけられ、火山活動の貴重な資料となりました。

三松は、昭和新山を保護するために私財を投じ、土地を購入し、自然保護活動に力を入れました。彼の手記には、硫黄採掘を防ぐためという理由が記されており、また、深い愛着からその土地を保有したいと考えていたとも言われています。

彼の業績と遺産

1951年には昭和新山が国家の天然記念物に指定され、1960年には特別天然記念物に昇格しました。三松の業績は評価され続け、1948年には彼が作成した「新山隆起図」が国際的に高く評価され、専門家が「ミマツダイヤグラム」と名付けて広まりました。

彼は1977年、昭和52年に89歳でこの世を去りますが、その死に際しても、彼が生涯にわたり目撃した有珠山の噴火が最後の記憶となりました。また、彼の観測記録を元にした「三松正夫記念館」が1988年に設立され、彼の遺した業績が未来に語り継がれています。

まとめ

三松正夫の人生は、火山への情熱とコミュニティへの献身で彩られていました。彼の観察と研究は、日々の業務を超えて、火山学の発展や環境保護の重要性を高める一助となったのです。彼の名は後世に残り、昭和新山と共に語り継がれることでしょう。

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