三枚橋城

三枚橋城（さんまいばしじょう）

三枚橋城は、現在の静岡県沼津市大手町にあった日本の城です。別名を観潮城とも呼ばれ、戦国時代後半に築城され、江戸時代初期には沼津藩の藩庁が置かれました。築城当時は沼津城と呼ばれていた可能性があります。

地勢

三枚橋城は、狩野川河口域の砂州上の微高地と、富士山の御殿場泥流の堆積物によって形成された扇状地の末端部分という地形の高まりを利用して築城されました。城域の東西には谷状の地形が南北に伸び、これを堀として利用しています。

歴史

戦国時代の築城

1554年の甲相駿三国同盟成立後、一時的な平穏が訪れますが、1560年の今川義元の敗死後、武田氏、北条氏、徳川氏が今川領への侵攻を開始し、沼津付近は争いの場となりました。

三枚橋城の築城時期については、『北条五代記』などの軍記物で永禄年間（1558年～1570年）から存在したかのように記述されていますが、確実な史料では1579年（天正7年）までしか遡れません。この時期は甲相合戦の時期にあたり、北条氏政が武田氏の築城を非難する書状が残っています。一方、武田氏も上杉景勝に築城を報告しており、当時は「沼津」という名称が使われていました。三枚橋という名称は後世の軍記物に見られるもので、混乱を避けるため、戦国時代の城を三枚橋城、江戸時代の城を沼津城と区別しています。

北条氏との攻防

武田氏と北条氏は沼津付近で数度にわたり戦いました。『甲陽軍鑑』によれば、武田勝頼と北条氏政が黄瀬川を挟んで対峙し、北条軍は防衛のため出陣したと回答。勝頼は武田信豊・春日信達らを三枚橋城に配置し、自身は徳川軍と戦うため西へ向かいました。北条氏は三枚橋城を包囲攻撃しますが、信豊らの抵抗により陥落させることはできず、その後も三島に布陣し、睨み合いが続きました。

落城とその後

1582年（天正10年）の織田・徳川連合軍の武田領侵攻により、戸倉城が落城し、三枚橋城の守備兵が動揺。同年3月28日、信達は三枚橋城を放棄し、落城しました。その後、徳川氏の松平忠次が城主として入城しました。

豊臣秀吉の滞在と廃城

1590年（天正18年）の小田原征伐では、豊臣秀吉がここに滞在し、津軽為信が謁見し所領を安堵されました。1601年（慶長6年）に大久保忠佐が城主となり沼津藩主となりますが、1613年（慶長18年）に忠佐が死去し、跡継ぎがいなかったため大久保家は断絶、翌1614年（慶長19年）に廃城となりました。その後、火災や開墾を経て農地化が進み、三枚橋城は姿を変え、新たな町が誕生しました。

現在では、建築工事時に見つかった石垣用の石が、沼津リバーサイドホテル前などで見ることができます。

構造

武田氏時代の縄張り等の構造を知る史料は現存しておらず不明ですが、大久保氏時代の構造については、「駿州沼津古城絵図」から、城郭は東西422メートル、南北509メートルで、四重堀と丸馬出があったと推測されています。2016年の報道では、古地図や石垣の発掘調査をもとに、南北約500メートル、東西約350メートルの範囲だったと推定されています。1777年に築かれた沼津城は、三枚橋城より規模が小さかったとされています。

水神社

志多町及び川廓は、かつて三枚橋城の縄張の内側にありましたが、低湿地のため洪水に見舞われ、東海道の道筋となり人家ができるにしたがって城地から外れました。当地の水神社は曲輪の守護神で、狩野川洪水からの守り神でもあり、現在も堤防のほとりに社殿が残されています。

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