三柴理

三柴 理（みしば さとし）

日本の多才な音楽家、三柴理は、ピアニスト、キーボーディスト、そして作曲家として、ロックバンド「特撮」の中心メンバーを務め、またかつて在籍した「筋肉少女帯」のサポートピアニストとしても精力的に活動しています。東京都港区六本木の出身で、その音楽キャリアは4歳でピアノを始めたことに端を発します。

来歴

幼少期より音楽に親しみ、4歳から安川豊子氏に師事してピアノを学び始め、9歳からは柏木由紀氏のもとで作曲を学びました。青山学院中等部・高等部を経て、国立音楽大学に進学し、さらに音楽の専門的な知識を深めます。大学在学中の1983年には、自ら率いるロックバンド「新東京正義乃士」を結成し、独自の音楽活動を開始します。このバンド解散後、1986年には「三柴江戸蔵」名義でロックバンド「筋肉少女帯」に加入。「エディ」という愛称は、この「江戸蔵」から生まれました。1988年にメジャーデビューを果たし、その超絶的なピアノプレイで大きな注目を集めます。しかし、ツアー中には十分なピアノの練習時間を確保できないという理由から、翌1989年にバンドを脱退するという異例の決断を下しました。バンド脱退後は、様々なロックやJ-POPアーティストのサウンドプロデュースを手がける傍ら、映画音楽やテレビCM音楽の制作にも携わり、その活動の幅を広げていきます。

2000年には、前年に筋肉少女帯を脱退していた大槻ケンヂ氏らと共に、新たなロックバンド「特撮」を結成。再びバンドサウンドの中でその才能を発揮し始めます。さらに、2006年12月に再結成した筋肉少女帯のライブにおいては、サポートピアニストとして参加し、古巣との良好な関係を維持しつつ、往年のファンを沸かせる演奏を披露しています。また、元有頂天の佐々木貴氏（タボ）がリーダーを務めるユニット「THE金鶴」のメンバーとしても活動しており、映像作品に付随する音楽制作など、多角的な音楽活動を展開しています。

音楽的特徴と影響

三柴氏の音楽性は、ロック、ポップス、そしてクラシックといった多様なジャンルを自在に行き来する点が特徴です。その演奏スタイルも非常に幅広く、クラシックで培われた流麗かつ繊細なピアニズムを基礎としながら、時に超絶技巧を駆使した激しい、まるで鍵盤が火を噴くかのような表現力も持ち合わせています。少年時代には指揮者別にクラシック音楽を深く聴き込み、特にレオポルド・ストコフスキーを敬愛していると語っています。一方で、新東京正義乃士を結成した頃はロックをほとんど聴いたことがなく、プログレッシブ・ロックに至っては筋肉少女帯加入後に内田雄一郎氏から教えてもらうまで知らなかったという意外な一面もあります。ロックの基礎やシンセサイザーの扱い方については、有頂天の佐々木TABO貴氏から多くを学んだことを明かしています。このように、彼の音楽性は、クラシックの素養と、後天的に吸収したロックやプログレのエッセンスが融合した、独自の進化を遂げています。

人物像とパフォーマンス

身長180cmを超える堂々とした体躯に、サングラスと髭という強面の外見とは裏腹に、非常に温和でユーモラスな人柄で知られています。高校時代まではクラシック音楽一筋だった彼の音楽観は、内田裕也氏の影響を受けてロックへと大きく傾倒することになります。インディーズ時代には、ステージ上でシンセサイザーを振り回したり、客席に投げ込んだりといった破天荒なパフォーマンスで観客を驚かせることも少なくありませんでした。メジャーデビュー以降は、そうした過激な行動は見られなくなりましたが、演奏中に自分の出番がない際に舞台上を自由に歩き回ったり、観客に対し大袈裟な身振り手振りで煽るなど、その滑稽で愛らしい人柄が滲み出るステージングで、ライブ会場を常に盛り上げています。

機材

ピアノは主に、その豊かな響きで知られるベーゼンドルファーやスタインウェイといった銘器を使用しています。ロックバンドでのライブにおいては、デジタルピアノとしてカワイ製、シンセサイザーとしてはローランド製の機材を多用しています。録音技術に関しては、独特の立体的なサウンドが得られるフェイズ4録音を好んでいるとのことです。

ディスコグラフィー・参加ユニット

ソロ名義では、ピアノ作品集である「Pianism」シリーズや、アニメーション「戦闘妖精雪風」のサウンドトラック、ロッククラシックスのピアノアレンジ集などを発表しています。また、他のアーティストとの共演盤も多数リリースしています。

主な在籍・活動ユニットとしては、

THE金鶴
筋肉少女帯（サポートメンバー）
特撮
Thunder You Poison Viper（内田雄一郎、長谷川浩二とのユニット）
* 竜理長（高橋竜、長谷川浩二とのユニット）

などがあり、それぞれのプロジェクトで彼の多様な音楽性を発揮しています。

新東京正義乃士、ザ蟹、三柴理Electric Trioなど、既に活動を終了したユニットも多数あります。彼の音楽キャリアは、一筋縄ではいかない多岐にわたる活動によって彩られています。

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