三橋敏雄

三橋敏雄について

三橋敏雄（みつはし としお、1920年11月8日 - 2001年12月1日）は、日本の著名な俳人であり、多くの作品で無季俳句を追求しました。彼の生涯を振り返ると、東京都八王子市に生まれた彼は、家族の経済的な事情から進学を断念せざるを得ませんでした。そのため、東京堂という書籍取次業者で勤務しながら夜間部で学びました。1943年には召集され、横須賀海兵団に入団しましたが、戦後は1972年まで運輸省の練習船事務長として活躍しました。

俳句との出会い

三橋の俳句の始まりは1935年にさかのぼります。当時、東京堂での先輩の勧めで社内の句会に参加し、翌年からはいくつかの俳句雑誌に投句を開始しました。彼は1937年に渡辺白泉の「風」に参加し、その後、白泉の指導を受けることになり、新興俳句無季派の一員となります。さらに、1938年には「広場」で同人となり、西東三鬼にも師事しましたが、1939年には新興俳句弾圧事件の影響で「京大俳句」が終了するなど、厳しい時代の中で俳句活動を続けました。

俳人としての活動

戦後の三橋は、西東三鬼主宰の「断崖」や山口誓子主宰の「天狼」に所属し、同人誌「面」や「俳句評論」にも参加しました。彼は、1967年に第14回現代俳句協会賞を受賞し、1986年には詩集「壚坶(ローム)」の監修を担当。また、1989年には「畳の上」で第23回蛇笏賞を受賞するなど、業界内での評価を確立しました。彼のスタイルは、戦後もなお無季俳句を中心に据え、特に戦争に関するテーマに強い関心を抱いていました。

代表的な作品と句

三橋は数多くの俳句を残しており、代表作には次のような句があります。「かもめ来よ天金の書をひらくたび」「いつせいに柱の燃ゆる都かな」、「戦争と畳の上の団扇かな」といった作品は特に評価されています。これらの作品は、戦争をテーマにしつつも、独特の視点や風情を持っており、多くの読者に親しまれています。

受け継がれる影響

三橋敏雄の影響を受けた俳人は多く、その中には池田澄子、遠山陽子、三橋孝子、沼尻玲子などが含まれています。彼らは、三橋自身が具現化した無季俳句のスタイルを学び、発展させていきました。これにより、三橋の作品は単なる文学にとどまらず、後世の俳句文化にも影響を与える重要な役割を果たしています。

主な著書

三橋は生涯にわたり数多くの著作を発表しました。なかでも、『まぼろしの鱶』（1966年）、『真神』（1973年）、『青の中』（1977年）、『畳の上』（1988年）などが挙げられます。彼の全句集は1982年に出版され、その後も増補改訂版としてリリースされました。また、近年でも編纂された「定本三橋敏雄全句集」（2016年）など、彼の作品群は今もなお多くの人々に読まれ続けています。

三橋敏雄は2001年に亡くなりましたが、彼の俳句は今でも多くの人々に愛され、評価されています。彼が日本の俳句界にもたらした影響は計り知れません。

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