三河平坂駅

三河平坂駅の概要

三河平坂駅（みかわへいさかえき）は、かつて愛知県西尾市平坂町に位置していた名古屋鉄道三河線の駅である。1980年代からの周辺環境の変化に伴い、2004年に廃止されるまでの78年間にわたる歴史を持つ。この駅は、鉄道の利用者にとって重要な役割を果たしていたが、近年の交通網の変化により無人駅となり、利用者数も減少し、最終的には廃駅となった。

駅の歴史

三河平坂駅は1926年に開業し、当初は大浜港（後の碧南）から神谷（後の松木島）を結ぶ三河鉄道の一部として運営されていた。この駅は、新たに開通した路線の一環として地域住民の交通手段を提供することを目的に設立された。1941年には三河鉄道が名古屋鉄道に合併され、この時から名古屋鉄道三河線の駅として運営されることとなった。

駅舎は1961年に改築され、その後も長い間利用され続けたが、1977年に貨物営業を廃止した。1985年には無人化が進められ、2010年までに電化設備が廃止されたことで、レールバスによる営業が開始された。最終的には2004年に廃駅となり、三河線の碧南駅と吉良吉田駅間の営業が終了した。

駅の構造

三河平坂駅は、廃止時点で唯一の交換設備を有していた駅で、島式ホームが設けられていた。駅周辺は住宅街に囲まれており、無人駅であったにもかかわらず、コンクリート造りの立派な駅舎が存在していた。列車は右側通行により進入し、構内踏切を通じて南側からアクセスできた。分岐器には発条転轍機が採用され、朝の時間帯には列車交換を行うためだけに機能を機能していた。駅構内にはかつての貨物営業時代の名残として側線が朽ち果てて残されていた。

利用状況

1992年度の名古屋鉄道百年史によると、三河平坂駅の1日平均乗降人員は281人で、名鉄全駅中では301位、三河線内では31位であった。しかし、2003年度には乗車人員が1日平均95人まで減少していた。こうしたデータは、地域の利用者の減少を示唆している。

駅周辺の様子

駅周辺には、岡崎信用金庫平坂支店や平坂鋳工、犬塚鉄工などの企業が点在しており、バロー平坂店や西尾市立平坂小学校なども近くにある。地域の交通には、愛知県道43号岡崎碧南線があり、平坂街道にも接続している。また、三河線の廃止に伴い、代替バスとしてふれんどバスが運行されている。

さらに、駅から約400m南西には名鉄平坂支線の平坂口駅があった。こちらは1960年に廃止され、地域の交通の歴史において重要な役割を果たしていた。両駅は非常に近接していたため、当時は徒歩での連絡が可能であったが、時間とともに交通手段は変化し、多くの利用者が他の手段に移行していった。

結論

三河平坂駅は、地域の鉄道網として長い間機能してきたが、その歴史は終わりを迎えた。現在は廃駅となったが、駅跡や周辺の痕跡は、過去の鉄道の名残を思い出させるものである。地域の人々にとって、継承されるべき歴史として、その存在は今も語り継がれている。

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