三浦国宏

三浦国宏：不屈の精神でオリンピックへ駆け上がったボクサー

三浦国宏（みうら くにひろ）は、1962年8月20日生まれ、岩手県下閉伊郡岩泉町出身の元アマチュアボクシング選手です。ロサンゼルスオリンピック、ソウルオリンピックに日本代表として出場し、その名を轟かせました。

高校時代から開花した才能

岩手県立岩泉高等学校でボクシングを始めた三浦は、恩師となる佐々木達彦監督の指導のもと、才能を開花させます。2年生でインターハイベスト8、3年生でインターハイ優勝という輝かしい成績を収めました。

社会人、大学を経てオリンピックへ

高校卒業後、国鉄バス、岩泉農協に勤務しながらボクシングを続け、全日本社会人選手権で優勝。1983年には拓殖大学に進学し、沖縄で行われたアジア選手権ウェルター級で銅メダルを獲得しました。1984年、ロサンゼルスオリンピックに瀬川正義とともに岩手県初のボクシング代表として出場を果たしましたが、初戦で敗退しました。

その後

1985年、全日本選手権ライトウェルター級で初優勝。1986年には世界選手権に初出場し、アジア大会で銅メダルを獲得。1988年のソウルオリンピックにも出場しましたが、再び初戦敗退となりました。1990年にはアジア大会で銀メダルを獲得しています。

1992年に現役を引退後、京都外国語大学の監督に就任。1995年には、京都で開催された全日本社会人に限定復帰し、見事優勝を飾りました。2005年には東京で「ミウラスタジオ」を開設し、山崎静代やアマチュア時代の高野人母美など、多くの選手を指導しました。

戦績とエピソード

三浦の戦績は246戦218勝28敗。拓殖大学の先輩である中洞監督から伝授された「伝説の左フック」は、彼の代名詞となりました。尊敬する選手は大場政夫。高校1年生の頃は膝の故障のためマネージャーを務めていましたが、当時の監督の冗談を真に受け、モスキート級（現在のピン級）まで減量して周囲を驚かせたというエピソードも残っています。

岩泉町は、元町長でピストン堀口の門下生であった八重樫協二や佐々木達彦監督など、ボクシング関係者が多く、日本でも有数のボクシングが盛んな地域でした。恵まれた環境の中で、三浦は才能を磨き上げることができたのです。

オリンピック代表であり、後にプロボクシングで世界チャンピオンとなった平仲明信には、アマチュア時代に4勝しています。平仲がアマチュアボクシングで唯一勝てなかった相手が、三浦国宏でした。モスクワオリンピック代表の副島保彦選手とは2勝2敗の五分。フェアプレー賞では、柔道の小川直也、相撲の千代の富士と共に表彰されました。

三浦国宏は、その不屈の精神と努力で、アマチュアボクシング界に大きな足跡を残しました。彼の功績は、故郷である岩手県、そして日本のボクシング界に永遠に語り継がれることでしょう。

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