三浦庄司

三浦庄司

三浦庄司（みうら しょうじ）は、江戸時代中期に相良藩の藩士として仕えた武士です。その名前は、庄次、庄二と表記されることもありました。

生涯

備後福山藩の領地であった備後国芦田郡府川の庄屋の子として生まれたと伝わっています。元々農政に関する知識や手腕に長けていたことから評価され、取り立てられることになりました。その後、田沼家で用人を務めていた三浦五左衛門の養子となります。

田沼意次が幕府内で権力を確立すると、庄司はその腹心として重要な役割を果たすようになります。その権勢を極めた時期の様子は、松浦静山が自身の経験談を基に記した『甲子夜話』にも描かれています。

庄司はまた、当時の著名な知識人たち、例えば平賀源内や工藤平助らと交流がありました。特に工藤平助が著した北方の事情に関する書物『赤蝦夷風説考』は、庄司を通じて幕府に提出されたとされています。このように、庄司は知識人と田沼意次との間に立ち、情報を伝える役割も担っていました。

天明6年（1786年）、幕府が進めていた貸金会所の設置計画に深く関与します。しかし、この計画は徳川御三家をはじめとする有力な大名たちの強い反発を招きました。結果として、この反発が同年発生した田沼意次の失脚の一因になったとも言われています。

田沼意次の失脚に伴い、意次の最も近い側近であった庄司にも諸大名からの責任追及の目が向けられました。相良藩はこうした外部からの圧力に抗しきれず、庄司に対してまず自宅での蟄居（押込）を命じます。さらに状況は悪化し、庄司は罪人として扱われ、相良藩への送還と入牢を余儀なくされました。

田沼家が改易により領地を減らされた後、庄司は相良藩から追放されたとされています。しかし、彼が莫大な蓄えを持っていたため、浪人となっても生活に困窮することはなかったという話も残されています。

『甲子夜話』には、追放後の庄司を一時匿っていたという老婆の証言が記されています。それによると、職を失った足軽たちが庄司のもとに集まった際、庄司は自身が蓄えていた金銭を彼らに分け与えることで、その場を収めたという逸話が紹介されています。

また、庄司の兄弟であったため福山藩士となっていた兄の山本藤右衛門と弟の山本弁助も、庄司の件に連座する形で藩を追放されることとなりました。

関連作品

三浦庄司は、近年のフィクション作品にも登場しています。

テレビドラマ
べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜（2025年、NHK大河ドラマ、演：原田泰造）

参考文献

三浦庄司に関する研究や記述は、以下の文献などで確認することができます。

山田忠雄「田沼意次の失脚と天明末年の政治状況」（『史学』1-2号、三田史学会、1970年）
安藤優一郎「三浦庄司」（『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞出版、1994年）
江上照彦『悲劇の宰相 田沼意次』（教育社、1982年）
『甲子夜話』1巻（中村幸彦; 中野三敏 校訂、平凡社〈東洋文庫〉、1977年）
* 『寛政重修諸家譜』3巻（高柳光寿 監修、続群書類従完成会、1964年）

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