三清教育隊

三清教育隊とは

三清教育隊は、1980年に大韓民国第五共和国の全斗煥政権下で設立された、主に「不良」とみなされた人々を対象とした矯正施設です。全斗煥大統領が、社会の「ゴロツキ」を一掃するという名目で、江原道に設置しました。名称に「三清」とありますが、ソウルの繁華街である三清洞とは一切関係ありません。

設立の背景と実態

1979年の粛軍クーデターで政権を掌握した全斗煥は、社会浄化を掲げ、共産主義者を排除するという名目の下、三清教育隊を設立しました。1980年8月から1981年1月までの間に、67,555人が検挙され、「審査委員会」によってAからDの4段階に分類されました。A級は軍法会議に、D級は警察での訓戒処分となりましたが、B級とC級に分類された39,786人が三清教育隊に送られました。

収容された人々の中には、暴力団関係者だけでなく、民主化運動の活動家も含まれており、政治的な弾圧の意図があったと指摘されています。また、1万5千人以上の未成年者や319名の婦女子も「教育」と称して収容されました。

教育隊での虐待と被害

教育隊では、収容者は「滅共棒」と呼ばれる丸太を担がされるなど、肉体的・精神的な虐待を受けました。この過酷な環境下で、少なくとも54人が死亡したとされています。さらに、後遺症による死亡者は397名、精神障害を負った者は2,678名に上ると報告されています。教育を修了した者のうち7,587人は、1980年12月に制定された社会保護法に基づき、引き続き収容されました。

長らく、その実態は隠蔽されていましたが、盧武鉉政権下の2006年、国家記録院の調査によって、三清教育隊に関する記録が保管されていることが明らかになりました。

被害者の名誉回復に向けた動き

2004年1月には、「三清教育隊被害者の名誉回復及び保障に関する法律」が制定され、国務総理の下に「三清教育被害者名誉回復及び補償審議委員会」が設置されました。2005年8月時点で、約2,800人が同委員会に申請を行いました。これは、三清教育隊が過去の過ちを認め、被害者の救済に向けた一歩を踏み出したことを意味します。

関連情報

三清教育隊に関する情報は、第五共和国 (大韓民国)の歴史的背景や、テレビドラマ「第5共和国」の第23話と24話でも描かれています。また、全斗煥元大統領の在任中に起きた事件であること、矯正施設や保導連盟事件、スパルタ教育、徴農制度、徴兵制度、兄弟福祉院事件といった歴史的背景を理解することも重要です。

外部リンク

三清教育隊人権運動連合（朝鮮語）：三清教育隊の入隊で被害を受けた人達で構成されている団体。
三清教育隊 - nate.com（ブリタニカ百科）（朝鮮語）：ブリタニカ百科事典の三清教育隊に関する記述。


三清教育隊事件は、韓国現代史における暗部であり、その真相解明と被害者の名誉回復は、社会正義の実現に向けた重要な課題です。

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