三田尻中関港

三田尻中関港：歴史と発展を刻む山口の港湾

山口県防府市に位置する三田尻中関港は、三田尻港と中関港を一体として呼ぶ名称です。国土交通省が定める重要港湾、そして港則法に基づく特定港に指定されており、山口県経済を支える重要な拠点となっています。

歴史：毛利水軍から現代の輸出拠点へ

関ヶ原の戦い後、防府を拠点とした毛利氏の御船手組（毛利水軍）が、三田尻を軍港・商港として整備したのが始まりです。萩往還の終着点として、長州藩（萩藩）の海の玄関口となり、藩の繁栄を支えました。江戸時代には、長州藩が推進した「三白政策」（米・塩・紙の増産）による交易の中心地として、特に製塩業が盛んでした。三田尻は、国内屈指の製塩地として発展し、西廻り航路（北前船）を通じて、塩が全国各地へと運ばれていきました。

1960年頃には防府市の製塩業は衰退しましたが、豊富な水資源を活かし、塩田跡地には工場が次々と進出しました。昭和初期からの工場誘致運動は成功し、福島人絹、鐘淵紡績（旧カネボウ）などが進出し、三田尻は工業港としての新たな道を歩み始めます。1959年には重要港湾に指定され、1964年には「周南工業整備特別地域」にも指定され、更なる発展の基盤が築かれました。

近年では、マツダ防府工場の操業開始（1982年）を契機に、自動車輸出港としての役割が大きく拡大しています。中関地区を中心に、完成車の輸出が盛んに行われています。

施設：多様な機能を備えた港湾

三田尻中関港は、三田尻地区と中関地区から構成されています。両地区共に商港（工業港）としての機能を有しており、それぞれ異なる特徴を持っています。

三田尻地区（築地地区）

かつてはカネボウ関連の資材・製品の取引が中心でしたが、近年はトヨタ自動車の車両輸送基地としての役割も担っています。2015年には「みなとオアシス三田尻」に登録され、潮彩市場防府などを中心とした賑わい拠点として地域活性化にも貢献しています。高速艇による防府市野島への旅客航路も開設されています。

中関地区

水深12メートルの岸壁を有し、大型自動車運搬船の入港が可能です。マツダ防府工場から生産された完成車の輸出が主要な業務となっています。また、水深7.5メートルの岸壁とガントリークレーンを備えた中関コンテナターミナルは、中国上海などとのコンテナ航路を開設しており、コンテナ貨物の取扱量も増加傾向にあります。コンテナ取扱量の増加に対応するため、2018年には大型のガントリークレーンが追加設置されました。

取扱貨物量とイベント

2009年のデータによると、三田尻中関港の港湾取扱貨物量は587万トンに上り、コンテナ取扱個数は52,920個でした。

2001年には、中関港で音楽事務所「オフィスオーガスタ」所属ミュージシャンによる野外ライブイベント「オーガスタキャンプ2001」が開催され、多くの来場者で賑わいました。

まとめ

三田尻中関港は、歴史と変遷を経て、現代の国際物流拠点としての役割を担う重要な港湾です。今後も、山口県の経済発展に大きく貢献していくことが期待されます。

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