三羽烏三代記

『三羽烏三代記』は、1959年10月30日に公開された松竹製作の記念すべき喜劇映画です。松竹の看板俳優であった上原謙、佐分利信、佐野周二の「三羽烏」を筆頭に、佐田啓二、高橋貞二、大木実の「新松竹三羽烏」、さらに小坂一也、三上真一郎、山本豊三の「松竹三代目三羽烏」と、三世代にわたるスターたちが一堂に会した豪華な作品として知られています。

監督は、人情味あふれる演出で定評のあった番匠義彰。製作は細谷辰雄が担当し、原案は大船脚本部、脚本は椎名利夫と富田義朗が共同で執筆しました。撮影は生方敏夫、音楽は牧野由多可が手掛け、美術は熊谷正雄、編集は浜村義康、録音は平松時夫、照明は豊島良三が担当するなど、当時の松竹を代表するスタッフが集結しています。

物語は、高橋貞二演じる探偵社社員の南条康介、佐田啓二演じる新聞記者の辰巳次郎、大木実演じる銀行員の高見明を中心に展開されます。佐分利信は、やもめの大学教授である土屋信行を演じ、佐野周二は、南条康介が下宿する浅草の煎餅屋「入河」の婿である草野雄之助を演じています。上原謙は、探偵社の社長である赤沢俊哉役で出演しています。

その他、小山明子が南条康介の恋人で煎餅屋「入河」の看板娘である草野綾子を、岡田茉莉子が辰巳次郎の恋人でテレビプロデューサーの小池さわ子を演じるなど、豪華女優陣も出演しています。高千穂ひづるが高見明の妻である高見弓枝を、山本豊三が土屋信行の息子である土屋信彦を演じ、三上真一郎が荻原英二役、小坂一也が高見家の下宿人で音楽学校の生徒である城山茂夫役を演じています。

桑野みゆきが家出娘で新興宗教の跡取りである宗方秋子を、高峰三枝子がお茶漬屋「ひさご」のマダムで土屋のかつての恋人である伊丹夏代を演じ、牧紀子が「ひさご」のマダムの娘である伊丹百合子を演じるなど、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩っています。脇を固める俳優陣も豪華で、三宅邦子が煎餅屋「入河」の女主人で綾子の姉である草野秀子を、水戸光子が赤沢俊哉の妻で女医である赤沢美智子を演じています。

九条映子がパン屋の娘である八坂いづみを、吉川満子が小池光江を、三井弘次が小田島を演じ、浦辺粂子が××教団の老婆を演じるなど、ベテラン俳優たちが作品に深みを与えています。若手時代の津川雅彦がテレビの助手役で出演しているのも見どころの一つです。

『三羽烏三代記』は、豪華キャストと笑いあり、涙ありのストーリーで、幅広い世代が楽しめる作品として、現在も多くの映画ファンに愛されています。

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