三菱ふそう・ファイター

三菱ふそう・ファイター

三菱ふそうファイターは、三菱ふそうトラック・バス（旧三菱自動車工業）が1984年から製造・販売している中型トラックです。

概要

1984年、中型トラックFKシリーズのフルモデルチェンジの際に「ファイター（戦士）」と命名されました。型式名はFK、FMが継続使用されています。2代目では、機械式オートマチックトランスミッションINOMATが採用されました。ラインナップは、フルキャブのファイターとベッドレスショートキャブのファイターNXの2車種構成で、大型仕様（増トン車）や4WD車も存在します。

積載量4トンクラスの中型トラックでありながら、機構的に大型トラックに近い構造（オルガンペダル式エアオーバハイドロリックブレーキ）を持つことが特徴です。かつては中型トラック市場で高いシェアを誇っていました。

2024年現在、32年という異例の長寿モデルであり、中型トラックで唯一直列6気筒エンジン搭載車がラインナップされています。

初代（1984年2月～1992年7月）

1984年2月24日に登場しました。外観は小型のキャンターや大型のザ・グレートと共通のイメージで、三菱ふそうトラックのデザインを統一する役割を担いました。ヘッドライト、左右ドア、ベッド部パネル、キャブ後窓はザ・グレートと共通の部品が使用されています。

1987年12月：マイナーチェンジ。ラジエーターグリル上部にパネルモールを装着し、230馬力のインタークーラー付ターボエンジンを追加。
1988年2月：FMシリーズをマイナーチェンジ。4WD車のFLを追加。
1990年2月：マイナーチェンジ。平成元年排出ガス規制に適合し、ラジエーターグリルのデザインを変更。
1991年7月：マイナーチェンジ。210馬力の自然吸気エンジン車が登場。コーナーリングランプを標準装備とし、FKシリーズにABSをオプション設定。

当時のテレビCMでは「プロの男たちと歩む、ブランドの実力。誰よりも日本の道に、ふそうファイター」というキャッチコピーが使用され、高倉健と八代亜紀の「挽歌」がCMソングに起用されました。

インドネシアでは2代目登場後も初代が継続生産されていましたが、ユーロ4規制に合わせて2018年に2代目ベースの車両が発表されました。

2代目（1992年7月～）

1992年7月に初のフルモデルチェンジを実施。キャビンデザインは角が取れて丸みを帯び、ヘッドライトはプロジェクタータイプの異形4灯に変更されました（輸出仕様は角型4灯）。このヘッドライトは、翌93年にビッグマイナーチェンジで登場するザ・グレート最終型と共通です。最近の三菱ふそう製トラックに見られるサイドウインドウのデザインもこのモデルから始まりました。ドアはファイター専用品です。通称「フルコンファイター」（フル・コンフォートの略称）と呼ばれています。CMにはジャッキー・チェンが出演し、「Exciting Handsome」というキャッチコピーが使用されました。

運転席側のドアアウターハンドルがグリップ式、助手席側がフラップ式という珍しい構成も特徴です。

1995年4月：平成6年排出ガス規制（KC-）に適合。「パワフルコンファイター」（パワフル・コンフォートの略称）が登場。軽量仕様のファイターSLも発売開始。
1996年12月：FKシリーズに積載量7.5t超車（FK-Z）と低床フルタイム4WD（FL-X）を追加。
1997年2月：一部改良。リヤ・ホイールパーク式ブレーキをオプションで装着可能とし、GVW11t車以上に標準装備。全車にサイドドアビーム、衝撃吸収式ステアリングを標準装備。200馬力以上の車種には坂道発進補助装置「EZGO」を標準装備。助手席ウインドウを引違式から巻き上げ式に変更。フェンダー上のガーニッシュを廃止。
1998年：ベッドレスショートキャブ仕様車、ファイターNXが登場。4tシャーシのファイターと同じ全長で荷台長が305mm長くなり、積載量を増やすことが可能になりました。長距離輸送には不向きで、市内便や近郊便での使用が主です。CMには藤原紀香が出演。
1999年4月14日：初のマイナーチェンジを実施。「ニューファイター」として、エクステリアデザイン、フロントの灯火器類、インテリアデザインが修正されました。外観デザインはスーパーグレートと共通のイメージとなりました。エンジンはSOHC24バルブの6M60および6M61に変更され、平成10年排出ガス規制（KK-）に適合。エアバッグが装備されました。
1999年5月：6x4低床大型車仕様のFQと積載8t級のFK-Zを追加。
1999年6月：機械式ATのINOMATを設定。
2002年2月23日：一部改良。5速ATの追加、ターンランプがクリアー化、標準のカラーバリエーションを9色に増加。
2002年7月24日：CNG（圧縮天然ガス車）モデルを追加。
2004年6月7日：新短期規制（PA-）適合。機械式ATのINOMAT-IIを設定。
2005年10月5日：2度目のマイナーチェンジを実施。「ベストワンファイター」として、ファイターNXをファイターに統合。GVW11t車以上にウェッジ式フルエアブレーキをクラス唯一標準装備。エクステリア、インテリアデザインを一新し質感を高めました。外観デザインは次期スーパーグレートのコンセプトモデル“FUSO CONCEPT”のイメージを反映させたもので、最新の安全関連規制にも対応。ベストワンシステムが採用され、ヘッドライトの位置、シート表皮、メッキバンパーなどの装備を自由に選ぶことが可能になりました。
2007年6月15日：平成17年排出ガス規制（新長期規制）（PDG-）適合。
2008年9月5日：総輪エアサス車を追加。
2010年6月：ポスト新長期排出ガス規制適合車（TKG-）を発売。「Bluetecテクノロジー」を採用し、高燃焼効率エンジン+DPF+尿素SCRを使用することでポスト新長期排出ガス規制に適合し、さらに平成27年度重量車燃費基準を達成（GVW20tクラスを除く）。フロントグリルをメッシュグリル化。GVW8tクラスに、6気筒エンジン220馬力を追加。
2011年7月14日：GVW8tクラスに、6気筒エンジン240馬力と6気筒エンジン270馬力が追加され、全車がポスト新長期排出ガス規制に適合。
2017年10月：2017年モデル発売。平成28年排ガス規制適合車（2KG-）適合。フロントグリルのフレーム部にブルーラインの塗装を施したエコブルーグリルを採用。インテリアはシルバーラインを配し、ブラックを基調とした内装色へ一新され、ステアリングホイール、ドアトリムやベッドを黒で統一。
2018年8月27日：新開発の4V20型直列4気筒OHV16バルブ・インタークーラーターボ付ディーゼルエンジン搭載した4気筒モデルを追加して発売。GVW8t車（FK）と4V20専用の準中型免許対応車、GVW7.5t車（FK-A）を設定。
2019年9月26日：2019年モデル発売。安全性が強化され、衝突被害軽減ブレーキ（AMB plus）、車両安定性制御装置（ESP）、車線逸脱警報装置（LDWS）、リアホイールパークブレーキを標準装備。内装では2代目スーパーグレートと同型のステアリングホイール（ステアリングスイッチ付）とBluetoothオーディオを採用。グレード名は従来のDX、カスタム、スーパーパッケージからスーパーグレートに合わせてエコライン、プロライン、プレミアムラインに変更。J-OBDIIとトラックコネクトに対応。6M60搭載車の一部に設定されていたINOMAT-IIは廃止され、全車6速MTとなる。

ファイターミニヨン(FIGHTER MIGNON)

FHの後継車種で、ファイターのシャーシにキャンターのワイドキャブを載せたタイプです。バキュームサーボ式ハイドロリックブレーキとエアオーバ式ハイドロリックブレーキを採用。メーター内にエアタンク圧力ゲージが追加されています。

キャビンを軽量化し、荷台長を増やして積載重量を増やすファイターNX同様のコンセプトに基づいていますが、NX以上に小型軽量なキャビンの搭載や装備の簡素化・軽量化により、当時の普通免許（現在の中型8t免許）で運転可能な車両総重量8000kg未満でありながらも最大積載量を4500kgを確保している個体も存在します。なお、車両総重量が8tを超える仕様の設定はありませんでした。

荷台架装を行っても積載量を確保できることから、キャブバッククレーンやダンプなどの架装ベースに用いられた車両が多いですが、一般的なドライバンや冷凍車などの架装が行われている車両も存在します。価格帯もファイター・ファイターNXより低く抑えられていることから建設業者の自家用ダンプカーやレンタカーとしての登録が多かったようです。

ネーミングの由来はフランス語で「優雅な」という意味と、ミニ4トン車にかけています。（実質的にいすゞ・フォワードジャストン、UD・コンドルS、日野・デーキャブレンジャーのライバル車になります）

1986年2月：FKのベッドレス車のFHを10年ぶりにフルモデルチェンジするかたちで登場。
1989年11月：マイナーチェンジ。平成元年排出ガス規制適合、フロントグリルの形状変更。
1995年3月：フルモデルチェンジ。
2002年6月：ベースとなったキャンターのフルモデルチェンジに伴い生産終了。ただし、海外向けには現在も生産されています。
2014年11月：長らく後継車両が存在しなかったが、軽量の専用シャシーにキャンターのワイドキャブを更に拡大して搭載し、4500kg級の最大積載量を確保できるキャンターEXが発売されました。ただし、ファイターミニヨンと異なりブレーキは油圧式です。

ラインアップ

FK-A（準中型免許対応車）
FK（4t積）
FK-Y（中型免許対応車。最大6,5t積）
FK-Z（7～8t積低床仕様）
FL（4WD仕様）
FL-X（低床フルタイム4WD）
FM（高床仕様、7～8t積）
FN（6x4）
FQ（6x4低床仕様）
FH（ファイターミニヨン）

メーカー完成車シリーズ荷台メーカー

D WING（ウイングバン完成車シリーズ） - パブコ、日本フルハーフ（LIMITEDパックはパブコ製のみ設定）
D VAN（アルミバン完成車シリーズ）、アルミブロック完成車シリーズ - パブコ
ダンプ完成車シリーズ - 新明和工業、極東開発工業
* ミキサー完成車シリーズ - KYB（1.5m3～3.2m3のみ）

ウイングバン完成車シリーズは、スーパーグレートには設定がない日本フルハーフ製も設定されています。ミキサー完成車シリーズの内、KYB製の4.5m3以上並びに新明和工業製はキャブ付きシャシーによる架装対応となります。

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