三菱ケミカルメディア

三菱ケミカルメディア株式会社は、かつて存在した記録メディアの製造販売会社であり、三菱ケミカルの子会社でした。同社は、「Verbatim」、「MITSUBISHI」、「Victor」の3つのブランドを擁し、幅広い記録メディア製品を提供していました。

事業概要

2018年当時、三菱ケミカルメディアはマクセルと並ぶ記録メディアの大手メーカーでした。特にCD-Rにおいては、アゾ色素を採用した記録層により、高い耐久性と保存性を実現していました。さらに、CD-RW、DVD-RW、BD-REには「SERL」、BD-Rには「MABL」といった独自の記録層技術を導入し、高品質な製品を提供していました。

同社は、Blu-ray Discメディアをはじめ、DVD-RAMを除く各種記録型DVDメディア、CD-R、CD-RW、MOといった幅広い製品を製造していました。DVDメディアに関しては、記録色素の外販も行っていました。製造拠点としては、岡山県倉敷市の水島テクノセンターや、シンガポール、アイルランドの自社工場に加え、台湾やアラブ首長国連邦の外部工場にも製造を委託していました。特に、記録メディアの製造拠点を早期に海外へ移したことで知られています。

しかし、2019年6月14日、同社は記録メディア事業及びその他事業をCMC Magnetics Corporationの子会社に売却することを発表し、2020年にVerbatim Japanへ事業を譲渡して撤退しました。

沿革

三菱ケミカルメディアの歴史は、1982年に三菱化成工業がアメリカのVerbatim社と合弁で設立した「化成バーベイタム」に遡ります。化成バーベイタムは、小型フロッピーディスクの製造・販売を目的としていました。その後、1990年に三菱化成がバーベイタム社を買収し子会社化、さらに三菱グループの再編を経て、1994年に化成バーベイタムを解散、その事業を受け継ぐ形で三菱化成メディアが設立されました。

以下に、同社の主な沿革をまとめます。

1982年: 化成バーベイタム設立
1994年: 三菱化成メディア設立、日本国内での「Verbatim」ブランド使用を一旦終了
1995年: 三菱化学メディアに社名変更、シンガポールでCD-Rの海外生産開始
1997年: 世界で初めてCD-RWを発売、台湾のCMC Magnetics CorporationへCD-Rの製造委託開始
1999年: 自社開発の有機色素「スーパーアゾ」を採用したCD-Rを発売
2001年: 世界で初めてDVD+RWを発売
2002年: 世界で初めてDVD+Rを発売、高速記録対応有機色素「SONIC AZO」を採用したCD-Rを発売
2004年: 世界で初めて片面二層DVD+R DLを発売
2008年: 世界で初めて記録層に有機色素を使用したBD-R LTH TYPEを発売
2009年: 「Verbatim」ブランドを日本に再投入
2010年: 日本国内での商品ブランドを「Verbatim」に統一
2017年: 三菱ケミカルメディアに社名改称、「Victor」ブランドの各種ブランクメディアを発売開始
2019年: 記録メディア事業をCMC Magnetics Corporationの子会社へ売却
2020年: Verbatim Japanへ事業譲渡、撤退

ブランド戦略

当初、日本ではVerbatimブランドでフロッピーディスクなどを発売していましたが、三菱化成メディアの設立に伴いMITSUBISHIブランドに変更されました。しかし、2009年にVerbatimブランドを再導入し、2010年には全ての製品をVerbatimブランドに統一しました。その後、一部製品でMITSUBISHIブランドが復活しましたが、Verbatim Japanへの事業譲渡に伴い、再び終了しました。2013年以降は、アイ・オー・データ機器を総代理店として、MITSUBISHIブランド製品も含めて販売を委託していました。一方、2017年から発売されたVictorブランド製品は、JVCケンウッドが代理店となっていました。

サッカー支援

三菱グループはJリーグの浦和レッズを支援していますが、三菱ケミカルメディアは2010年に「Verbatim」としてギラヴァンツ北九州を支援していました。これは、同クラブが同社保有のサッカー部を母体としていたこと、そして再投入したVerbatimブランドの浸透を図る狙いがありました。しかし、1年でスポンサーを降りることになりました。

関連項目

土田晃之: 2010年に「Verbatim宣伝隊長」として起用
黒田淳: かつて所属していたBMX選手、現競輪選手

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