三菱・エテルナ

エテルナ (ETERNA)

エテルナは、三菱自動車工業がかつて手掛けた普通乗用車です。同社の基幹車種であるギャランの姉妹車として位置づけられ、主に当時の「カープラザ店」系列で販売されました。本稿では、派生モデルを含めたセダンタイプを中心に、その歴史を振り返ります。

概要

エテルナは、ギャランとは異なる販売網（カープラザ店）で展開された姉妹車です。ボディタイプは基本となる4ドアセダンのほか、世代によってはスタイリッシュな4ドアハードトップや、特徴的な5ドアセダン（実質的にはハッチバック）も設定されました。

各世代の変遷

初代 (1978年 - 1980年)

1978年 3月、カープラザ店の開設に合わせて発売されました。当初はギャランΣの姉妹車であることを示す「ギャランΣエテルナ」という名称でした。ギャランΣが丸形（後に角形）4灯ヘッドランプを採用していたのに対し、ギャランΣエテルナは異形角型2灯式ヘッドランプを用いるなど、外観デザインで差別化が図られていました。

2代目 (1980年 - 1983年)

1980年 5月にモデルチェンジし、「エテルナΣ」として登場。名称から「ギャラン」の冠が外れ、独立性が高まります。フロントグリルやテールランプのデザインがギャランΣとは異なり、より明確な個性を持たせました。販売促進のため、歌手の桑江知子や女優の星野知子をイメージキャラクターに起用し、「なっちゃんのエテルナ」というキャッチコピーも展開されました。

1983年 9月にフルモデルチェンジを実施。当初はセダンのみの設定でしたが、先代のエステート（バン）は1985年まで継続生産され、その後ミラージュバンなどに統合されました。この世代のイメージキャラクターには、ギャランΣと兼任で俳優の高倉健が起用されています。1984年 10月には、ギャランと同様に4ドアハードトップが追加され、ラインナップが拡充されました。1986年2月にはマイナーチェンジが行われ、サイクロンエンジンへの換装や、デボネアVと共通のV6 2Lエンジン搭載モデルが登場。セダンとハードトップでデザイン変更の箇所が異なります。セダンの一部グレードは、1988年 11月に4代目が登場した後も継続生産され、北米仕様と同じ規格型角型4灯ヘッドランプを持つ「EXE」シリーズとして、後述のエテルナSAVAが登場する1989年 10月まで販売されました。ハードトップは、後継車種のディアマンテが登場する1990年 5月まで製造されました。

4代目 (1988年 - 1992年)

1988年 10月に登場した4代目は、三菱の販売戦略に基づき、ギャランの姉妹車として5ドアセダン（ハッチバック）という特徴的なボディタイプを採用しました。高性能モデル「ZR-4」には、世界ラリー選手権で活躍したギャランVR-4と同じ4G63型ターボエンジンが搭載されました。1989年 10月のマイナーチェンジでは、一部グレードを除きバンパー組込みフォグランプ付き大型バンパーを採用。ZR-4にはAT車が追加され、MT車の出力も向上。2.0L DOHCエンジン搭載車もパワーアップしました。さらにこの時、ギャランをベースとした4ドアセダン「エテルナSAVA（サヴァ）」が追加されます。エテルナSAVAは、専用のフロントグリルやテールランプ周辺のデザイン、ギャランよりもわずかに低いルーフ後端や傾斜の緩やかなCピラーによるリアクォーターウインドウの大きさなどがギャランとの識別点でしたが、2.0L DOHCターボモデルは設定されませんでした。SAVA登場以降、イメージキャラクターに俳優の世良公則が起用されています。1990年 10月には一部改良が実施され、全車にサイドドアビームを標準装備するなど安全性が向上したほか、上級グレードにはキーレスエントリーや運転席パワーシートが設定されました。ZR-4のMT車はさらに出力が向上し、2.0L DOHC車はハイオク仕様化されパワーアップ。SAVAにも新たなグレードが追加されました。

5代目 (1992年 - 1996年)

1992年 5月に登場した5代目は、ボディタイプを4ドアセダンに一本化し、ギャランとともに車体幅を広げ3ナンバーサイズとなりました。V型6気筒エンジン搭載やワイドボディを積極的にアピール。ギャランでも採用されていた、走行状況に応じて最適なシフトパターンを選択するINVECS（インベックス）を備えた4速オートマチックトランスミッションも設定されました。1993年以降、「Visage」シリーズを中心にグレード展開を拡充。「Visage S」などのスポーティグレードや、V6 2000ccエンジン搭載の「Visage LS」などが加わります。1993年 10月には、MIVEC-MD搭載の高性能グレード「Visage R」や、リーンバーンエンジン搭載の「MVV」といった新技術を搭載したモデルも登場。1994年 10月のマイナーチェンジでは、フロントバンパーが派生車種のエメロードと共通のデザインになり、ヘッドライトの意匠も変更されました。ギャランにおけるVR-4に相当した高性能グレード「XX-4」が廃止され、後継として「GT」が発売されました。GTには期間限定で特別装備を持つモデルも存在しました。また、「Visage S」のエンジンが直列4気筒に変更されるなど、グレード構成や搭載エンジンの見直しが行われています。1995年 10月の96年モデルでは、「Visage R」が廃止されるなど、再びラインナップに変更がありました。一部グレードで運転席エアバッグが標準装備化されています。1996年 8月、姉妹車ギャランのフルモデルチェンジと車種整理に伴い、エテルナは販売を終了しました。直接の後継モデルとしては、1998年に登場した8代目ギャランの姉妹車であるアスパイアが位置づけられます。また、8代目ギャランがカープラザ店での取り扱いがなかったため、暫定的な後継として、8代目ギャランのワゴンモデルであるレグナムがカープラザ店でも併売されました。

名前について

「エテルナ」という車名は、イタリア語で「永遠」を意味します。これは、同時に展開されたギャランの「勇ましい、華麗な」（フランス語）や、初期モデル名に含まれる「Σ（シグマ）」が「集大成」を意図したネーミングであったことなど、当時の三菱車の車名に込められた想いをうかがわせます。また、4代目に追加されたセダンモデルの名称「SAVA（サヴァ）」は、フランス語で「元気？」といった気さくな挨拶に使われる言葉に由来しています。

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