三菱・4N1型エンジン

三菱・4N1型エンジンについて

三菱・4N1型エンジンは、三菱自動車工業によって開発された直列4気筒のディーゼルエンジンのシリーズであり、小型および中型の乗用車に向けて設計されています。このエンジンは、京都府京都市にあるパワートレイン製作所の京都工場で製造されています。

エンジン開発の背景

2006年、三菱自動車工業と三菱重工業は、次世代クリーンディーゼルエンジンの共同開発を発表しました。このプロジェクトは、2010年の量産化を目指しており、当初、欧州市場向けが中心でしたが、後に北米市場なども視野に入れることとなりました。この新しいディーゼルエンジンは、2006年に策定された三菱自動車の「環境行動計画2010」において重要な位置を占めています。

最初に発表されたのは1.8リットル（1,798 cc）の4N13エンジンで、2007年のフランクフルトモーターショーでConcept-cXと共に紹介されました。その後、2.2リットル（2,268 cc）の4N14エンジンが同年に東京モーターショーでConcept-ZTと共に発表されました。

技術的特長

4N1型エンジンは、欧州の排出ガス規制であるEuro 5、米国のTier 2 Bin 5、日本のポスト新長期規制に準拠した設計となっており、環境への配慮がなされています。このため、ディーゼル酸化触媒（DOC）、NOxトラップ触媒（NTC）、そしてディーゼル微粒子捕集フィルター（DPF）を組み合わせた高度な触媒システムが開発されています。

さらに、このエンジンは、燃焼時の圧力の急激な上昇を抑えるために低圧縮比で設計され、アルミシリンダーブロックが使用されています。吸気側にはDOHC16バルブに注目されるMIVEC技術が採用されており、これは乗用車用ディーゼルエンジンとしては世界初の試みです。コモンレール式のインジェクターは、2,000気圧の噴射圧力を持ち、燃焼効率の向上に寄与しています。4N13型エンジンではソレノイド式が、4N14型エンジンではピエゾ式のインジェクターが使用されています。また、急速昇温を可能にするセラミックグロープラグも各エンジンに装備されています。

さらに、4N13エンジンにはタービン側に可変ベーンを採用したVGターボが装着されており、さまざまな運転条件における最適な過給圧を提供します。一方、4N14エンジン方面では、コンプレッサーに可変ベーンを贅沢に使用したVD/VGターボが装備されています。

エンジンの摩擦、騒音、振動を低減させるために、オフセットクランクシャフトも採用され、全域でのスムーズな動作と静粛性を実現しました。これにより、乗員は快適なドライブを楽しむことができます。

主な搭載車両

4N1型エンジンは、以下のような車両に搭載されています。特に、4N13は2010年から2015年までの三菱・ASX（欧州向け）や2010年から2017年の三菱・ランサーなどに使用されました。

また、4N14は2010年から2018年までのアウトランダーや2013年から現行のデリカD5、2013年から2018年のASXに搭載されています。最近では、2019年から2021年までのエクリプスクロスやL300にも使用されています。

まとめ

このように、三菱・4N1型エンジンは技術革新を促進し、環境負荷を減らすために設計されたエンジンで、さまざまな車両に搭載されており、現代の自動車技術の一翼を担っています。

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