三菱東京UFJ銀行大手町ビル

三菱東京UFJ銀行大手町ビルは、かつて東京都千代田区大手町一丁目に位置していた超高層ビルです。この建物は、1973年に三和銀行設立40周年を記念して「三和銀行東京ビル」（通称：サンワ東京ビル）として竣工しました。建設地は、皇居大手濠と内堀通りに面した千代田区大手町一丁目1番1号という都心の一等地でした。

竣工当時、高さ99.7mは当時の銀行建築としては異例の高さであり、銀行の高層化が話題となりました。内堀通りから日比谷通りまで連続した敷地を持つのは、このビルだけでした。建物は、ビジネス街である日比谷通り側には営業部門が入る低層部、中央には東京本部が入る高層部、そして皇居側には1650平方メートルのプラザ（公開緑地）が配置されていました。低層部の屋上には庭園も設けられ、都市空間に潤いを与えていました。

外観は黒の花崗岩で仕上げられ、全階にバルコニーを持つ彫りの深いデザインが特徴的でした。窓は二重ガラス構造で、南北側は1.5m、東西側は2.6m外壁から引っ込めることで、直射日光を遮り、地震時のガラス落下を防ぐ工夫が凝らされていました。建物の外周は歩道と一体化した公開空地として提供され、都市景観に貢献しました。また、低層部の床面は道路より約50cm下げ、高層部のエレベーターも中央からずらすことで、日比谷通り側と内堀通り側から向こう側を見通せる「視覚の道」が形成されていました。

この建物は、その優れた建築デザインと都市計画への貢献が評価され、1975年に第16回BCS賞を受賞しました。さらに2008年には、日本建築家協会主催の第8回JIA25年賞を受賞し、その建築としての価値が改めて認められました。しかし、時代の流れとともに南側に隣接するりそな・マルハビルとともに建て替えられることとなり、2012年に解体されました。

その跡地には、2017年1月に大手町パークビルディングが竣工しました。再開発された街区は「大手町ホトリア」と名付けられ、新たな都市空間として生まれ変わりました。この再開発は、かつての三菱東京UFJ銀行大手町ビルの記憶を継承しつつ、未来に向けた新たな価値を創造する試みとなりました。

この建物の歴史は、日本の都市における銀行建築の変遷を示すとともに、再開発を通して都市がどのように変化していくかを示す好例と言えるでしょう。

旧三和銀行東京ビルは、2002年に東海銀行との合併によりUFJ銀行となり、2005年には東京三菱銀行との合併により三菱東京UFJ銀行となったことに伴い、建物名称も変更されました。名称が変更されても、その特徴的な外観と歴史的価値は変わることはありませんでした。しかし、建て替えのため解体されてしまいましたが、その存在は今も多くの人々の記憶に残っています。

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